終章(前編) それぞれの戦い

魔王城へと乗り込んだ一行は恐る恐る進んでいた。その中で唯一エクステラだけは違った。

「テラさん、待ってください!」

「ん?何?」

「もう少し慎重にならないといつどこで罠があるか…」

「大丈夫だよ。分かるもん。魔王はね、きっと寂しいの。色んなところに落書きがあったりおもちゃとか落ちてたりするからね。」

暗くて気づかなかったがそのそこら中には落書きがあった。

長い廊下を抜けると広いところに出た。その先には大きな扉があった。

「みんな、準備はいい?」

エクステラが振り向いて言う。するとどこからか声が聞こえた。

「ようこそ、勇者たち。ワタシなりのお迎え、歓迎するよ。」

すると大きな氷の塊と黒い鎧があらわれた。

「確かに…良い歓迎ですね。」

ラウラが構える。

「…今の私なら大丈夫、お姉ちゃん達は先に行って。」

レイが言った。

「みんな、ごめん。絶対に成功させるから。」

エクステラとイルマは扉の先へ向かった。



レイサイド

「意思はなさそう。でも一緒。」

氷の塊を見て、あの時の恐怖を思い出す。

「でも、今はもう…この力も扱える。今度こそ私が自分で終わらせる!」

私は構えた。自分自身が今できる最大の技。

『コール・フリーズ』

私の全身から生み出した無数の氷塊が氷の塊にぶつかる。そして、全ては終わった。



ラウラサイド

「闇に堕ちた騎士…あの時助けてもらえなかった時は自分もこうなっていたかもしれない。」

人の心には闇が潜む。もちろん自分にだってある。人に言えないこと、見せられない一面、それこそ数え切れないほどに。人の心が生んだ闇の成れの果て。それを断ち切ってこそ…光に、希望になれる。

「これも悪い癖。ついつい考えて行動して…でも、今は…自分を信じて!」

今できる自分の全てを捧げて…

『斬翔-威堕天-』

自分の中に潜む闇を剣に込め相手へと飛ばす。怒りをぶつけているようなものだけど、これでも結構スッキリする。自分の中の異物がなくなるし…。

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