7章 魔導の森(後編) 小さくても大きなこと
2人は魔導の森で迷っていた。
「う~ん、イル君、まだ着かないの?」
イルマは地図に集中しながら答えた。
「テラさん、僕も集中しているんですから我慢してください。」
イルマがそう返事をした後、急に静かになった。
「…テラさん…?」
振り向いたときにはエクステラはいなかった。
エクステラは暇だったので適当にふらふら歩いていた。歩いていると前にはたくさんの看板が明らかに低い位置に建てられていた。
「あれ?…“危険”?なにこれ?面白そう!」
好奇心に身を任せてエクステラはその先へ進んでいった。
「あれ?おかしいな。」
先へ進むたびに周りの木や草が高くなっているような気がした。そして、その先にはとても大きな箱でできた家があった。そこへ入ると人がいた。その人は私の姿を見ると慌てだした。
「ああ!もう!危険って看板見えなかったんですか?!」
それを聞いても何のことか分からなかったから聞いてみた。
「どうして危険だったの?」
その人はため息をついて言った。
「はぁ…。私はローラっていう名の知れた魔法使いだったけど、魔法が暴走してしまってこの周囲に入った人が小さくなってしまうんです。あなたもほら。」
そういわれると自分が小さくなっていると分かった。
「でも、この魔法は解けるんでしょ?」
そういうとローラは落ち込んで答えた。
「失敗してから思うように魔法が使えなくなっちゃったんです。」
エクステラはそれを聞いて、笑って答えた。
「ふふっ♪失敗したのは気持ちの問題だと思うよ。ほらほら!笑おうよ!気持ちまで小さくなったらダメだよ!もっと大きな気持ちになればきっと成功するよ!」
ローラは戸惑っていた。
「え、ええ?そ、そんな急なこと言われても…。」
「ほらほら!笑顔だよ、笑顔♪」
エクステラは満面の笑みで言った。
「こ、こんな感じかなぁ。」
ローラは無理やり笑った。それを見たエクステラは楽しそうに言った。
「そうそう♪今度はもっと楽しんで♪」
ローラは気弱く言った。
「え、む、無理ですよ!」
エクステラはむっとして言った。
「そんな気が弱いからできないの!もっと自分に自信を持って!自分は魔法が誰よりも上手いって信じるの!」
ローラは自信なく言った。
「で、でも…。セーラ様より全然魔法はできないし…。」
エクステラは自信を持って言った。
「だったら、その人に追いつけるように、認めてもらえるように、って思ってみたら?」
俯きがちだったローラは少し頭をあげてつぶやいた。
「…私が、セーラ様に認められる…!私、自信がついてきました!今ならできるかも…!」
ローラは外へ飛び出した。エクステラは笑ってその後をついて行った。
「できました!」
ローラは自信満々で言った。その後、2人は徐々に大きくなっていった。そして、元の大きさで止まった。
「やった…!わ、私…成功したんだ…!」
ローラはとてもうれしそうだった。その姿を見て、エクステラもすごく嬉しかった。
「あ、ありがとうございます!あなたは私の恩人です!あなたの名前、教えてくれませんか?」
エクステラはそれに答えた。
「私はエクステラだよ。ありがとう、ローラちゃん♪」
ローラは目を輝かせて言った。
「エクステラさん!あなたは私にとってセーラ様と同じくらい尊敬できる方です!」
エクステラはローラに聞いてみた。
「あの~、グランド・スパイラルってところに行きたいけど、道分かるかな?」
ローラは元気よく答えた。
「はい、分かりますよ。近くまで案内しましょうか?」
エクステラは笑って言った。
「うん、お願い!」
2人は森の中を進んで行った。
2人が歩いていると大きな橋に出た。ローラはお辞儀をして言った。
「この橋からは道があるのでそこを進んで行くとグランド・スパイラルに出ますよ。」
エクステラはローラに抱きついて言った。
「ありがとう!ローラちゃん!」
ローラは照れながら言った。
「感謝するのはこっちの方です。もしまた会うことがあったら、もっとお礼させてください!」
エクステラはスキップしながら手を振って言った。
「じゃあ、またね~♪」
ローラも手を振ってお別れをした。その後ろには優しい目で見守る影があったが、エクステラは気にしなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます