5章 魔導の森(前編) ちょっと寄り道
二人が森の中を進んでいくと、どこかで感じたことのある気配がした。
「ひさしぶりね。生意気な勇者さんと私の…コホン、少年よ。」
エクステラは首を傾げた。
「誰だっけ?」
「大魔導士だって言ったでしょ!お城で会ってるし!」
大魔導士は怒った。
「ごめんね。お城にいた時のことは全然分からないの。最後に逃げてったのは何となく覚えてるけどね。」
「まぁ、いいわ。あの時は負けてしまったけど、今回はきちんと作戦は考えてあるわ。」
二人を煙が包み変な感覚を感じた。煙が晴れると違和感に気づいた。二人は入れ替わっていた。
「フフフ、これで勇者は力を発揮できないまま…。嫌、やっぱり嫌だわ。貴方は貴方のままでいてほしい。」
また煙が出て、晴れると二人は戻っていた。
「コホン、私は勇者を許せないけど、そこの貴方を巻き込むわけにはいかない。だって、貴方は私を虜にした唯一の人なんだから。」
魔導士はイルマに突っ込んでいったのをイルマはすごく気味悪がって避けた。
「なんで僕の事を気にかけているのかは知らないけど、僕はテラさんと一緒に行きたいんだ。」
そう答えると、魔導士はにやりと笑って答えた。
「だったら、勇者よ。氷の町にいる心を凍らせてしまった少女を救ってみせてごらん、それならば、認めてやってもいいわよ。」
二人は悩んだが、エクステラは笑って答えた。
「ふふっ、その子は困ってるんでしょ?だったら助けなきゃ!」
エクステラは走り出した。それを追いかけていくイルマを見ていた魔導士は答えた。
「助けられるのかな…。あの子…。あの暑苦しい勇者なら、あの子の凍ってしまった心も、きっと…。」
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