破壊編 第4話 破壊と虚無の邂逅

「さて、兄さんにいい所見せるか。」

エクリールは影に近づき、問いかけた。

「おい、お前。何が目的だ?目的というか…あれだ、どうしてこうなったかを教えて欲しい。お前には悪意を感じない。」

「なんだ…虚無の女神か?いや、違うな…。」

そこでミロクが言った。

「これは特異点だ。この未来には全てを変える運命がある。お前が望んでいた運命だ。」


「特異点…お前のことは憎いがお前の力がそういうのなら間違いなさそうだな。」

「ああ、だからその子を返してくれ。私はもう僧を辞めた身だ。お前達のことでな。」

「ほう、そうか。ならいいだろう。」

影はぬいぐるみに納まり、その中からミミが出てきた。そして、ぬいぐるみから声が聞こえた。

「では、この世界が多彩な運命によって再構築される昔の話だ」



我は孤独に破壊を司る。それは虚無も同然、孤独を感じるほど虚無を感じる。神には創造と虚無はなかった。それは人に委ねる存在だからだ。

ある時、新たに生まれた虚無の女神に会えた。人の神たるもの孤独を感じ破壊衝動に目覚めたのだろう。だから我が引き寄せられた。

「ねぇ、あなたって誰?また幻なのかな…。 もう私には何もないんだ。もういっそ心ごと壊れてしまえばいいのに…。」

「自らを破壊するなんて…正気なのか?」

自ら自分の破壊を望むものなんて無い。彼女の破壊衝動はあまりにも孤独で無意味。いつから我は心を持った?ただ破壊だけの我が。


彼女の近くで我は学んだ、心のことを。彼女の経緯も、孤独も。我がそれを埋められているか分からないがそう信じたかった。人とははそういうものだろうか。もしかすると彼女が我を求めたのではなく我が彼女求めたのでは無いかと思う。


ある時から彼女に避けられるようになった。そして…彼女は自分の心を放ち自らを封印した。我はその膨大な力を糧に虚無の女神という座を創った。どれも我が彼女を求めていたせいだ。その時に彼女に似ている少女を見つけたのだ。



「なるほどな。だけどな!破壊は終わらせるためにあるんじゃない!今ある何かを変えるために破壊するんだ!ただの癇癪とか八つ当たりとかそんなもんは破壊じゃなく暴走だ!」

エクリールが説教をした。

「そうかもしれないな。いつの間にか暴走していたのかもしれない。心とは怖いものだな。」

そして、問題が全て解決した。しかし、何かがおかしい。全て解決したはずなのに。

そして…未離はいなかったことに気づいてしまった。

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