第24話 第一回チキチキボーリング大会①
「第一回チキチキボーリングたいか〜い〜っ」
ドンドンドンドン、パフパフッ
という訳で、俺は今、ボーリング場へとやって来ている。何故、どうして?そんな疑問にお答えするならば、先日以来、達也に彼女が出来そうな事に焦りに焦った竜二からの圧力がウザく、仕方がないので、男女混ぜた形での遊ぶ機会を企画したのだった。
では何故、ボーリング?かと言うと、飲みだと嫌がる女子が多く、人が集めにくい。かと言ってキャンプに繰り出し、バーベキューとかは、手間がかかるし出費も嵩むので却下だ。必然、近場で遊べて場合によっては、早い時間に帰れるこの総合遊戯施設に来ている。ラウンドなんとかだ。察して欲しい。
「さてやって参りました、ここラウンドなんとか、これから熱い戦いが繰り広げられる訳ですが、まずは雛壇の皆様の自己紹介!」
「圭介、あんたのそのテンション、嫌なんだけど」
そう言ってジト目を送るのは、我が偽の恋人、奈々さん。彼女は今回俺のパートナー枠で参加だ。この他、健や真子、達也にそのパートナー候補、
「そして特別ゲストとして、撃墜王こと三枝瑞穂さんと取り巻きAの田中総司君、さらに元ヤンの佐々木真里奈さーん!」
今回の対竜二用にご用意したのが2人の女子。1人は三枝さんでもう1人は佐々木さん。三枝さんはここ最近知り合った後輩女子で実は琴子ちゃんとも友人だったらしい。佐々木さんはと言うと真子ちゃん繋がりで、今回参加。因みに田中君は完全に数合わせだが、本人はかなりテンションが高い。ああ、田中君は元々サッカー部だったので、今は俺らのサークルに入っており、最早舎弟状態である。
「先輩、その撃墜王ってやめて下さいっ」
「圭介さん、扱い雑っす」
「ああ、清水君喧嘩売ってるんだ?ちょっとお姉さんと人通りの無いところに行こうか?」
「若干1名、ちょー怖いんだけど!?勿論、冗談、冗談んですよ?」
俺は佐々木さんの睨みに震え上がり、速攻で誤魔化しに入る。やっべ、この人マジモンじゃね、誰がこの人呼んだんだ、と内心思っていると真子が大笑いして佐々木さんにフォローを入れる。
「まあまあ真里奈、元ヤンなのは事実何だからしょうがないでしょ?それに今回は圭介君にお礼があるから態々きたんでしょ?」
「ん?何?お礼って?御礼参り的な感じ?それなら完全にお断り申し上げますが……」
「だから私は普通の女子っ、って変な突っ込みさせないでよ。真子も変な事言わないでよねっ。お礼はお礼よ。清水君のお陰で正直助かったから」
「はぁ?」
俺は意味が分からず首を傾げる。全く身に覚えが無く、何がなんだかである。佐々木さんもそんな俺の様子に苦笑を浮かべて、簡単にその理由を説明してくれる。
「ようは私達がいたサークルを事実上、潰してくれたでしょ?ちょっとここ最近、あまりいいサークルじゃ無かったから、凄く助かったって言うか、だからお礼よ」
「いや、俺はただ奈々を迎えに行っただけで、お礼を言われる筋合いでも無いんだけど……、まあ、それで気が済むなら礼は受け取るけど」
まあ奈々のサークルが事実上休止状態なのは、多少俺のせいでもあるが、まあ奈々のせいと言うのが大半だろう。まさに広告塔、その広告塔が嫌気がさして辞めたのだ。一気にヤバいサークル扱いである。自然と女子は数を減らし、今は事実上休止状態。ただそれを俺自身手柄でもなんでもないと思っているので、ぶっちゃけなんのこっちゃ?である。そして同じくそんな会話に興味を示さない奴が話をぶった切る。
「おい、圭介、まあこれで顔合わせ終了だろ、そろそろ始めようぜ」
と言ったのは健。今のやつは珍しく妙にやる気だ。奴は俺と同じくサッカー部出身で手を使わないのにも関わらず、案外ボーリングに自信があるらしい。しかしこの俺も集中力が持続できる時は200近いスコアを出した事もあり、そんな健にニヤリとする。
「ああそうだな、で、男女混合ペアで誰と組合わせになるかだが、ここは公平にクジにするか」
「おう、それで良い。じゃあ男女それぞれこの紙に名前を書いてくれ」
健はそう言って紙を差し出し、上と下それぞれに男女が 名前を書き込む。因みに男子が書いた後、その部分を折って女子が名前を書いた為、当然誰が誰とペアになるかは分からない。そこにあみだくじの様に線を書き足し、これで公平なペア作るの完成だ。本来であれば、俺や健は自分のパートナーでペアを組んでも良かったのだが、そこは遊びだ。奈々や真子も場が盛り上がるならそれで良いと言っていたので、こういうランダムな形にした。そして場が盛り上がる。
健ー琴子
竜二ー真子
達也ー真里奈
総司ー奈々
そして俺のパートナーは三枝さんだった。うーん、流石は竜二、持ってない。そしてオタク気質の達也はギャル気質の真里奈に軽く引き気味だ。そして奈々のパートナーの総司は感動に打ち震え、健はと言うと平常運転だな。寧ろパートナーよりも玉選びに夢中で、どうやら奴のやる気はMAXである。
「ふふふ、で、今回の勝負、当然、何かしら景品があるんだろうな?」
そこで何やら微妙にテンションが高い竜二が勝負事として話を持ち込んでくる。いつもなら何言ってんだこいつ的な扱いの竜二だが、やる気MAXの健は当然それに乗ってくる。
「ほう、どうやらギタギタに打ちのめされたい奴がいるみたいだな。ふん、その勝負受けてやろう」
「はは、あんたら揃いも揃って、私の前に平伏してやるわ、かかってきなさい!」
と最早キャラがブレブレの真里奈さん。因みに達也は最早、下僕状態だ。そして最後に奈々が綺麗な笑みを見せる。
「ふふーん、優勝したら圭介に何して貰おうかな。田中君、期待しているわよ」
「は、ハイっす。奈々さんの為なら、全身全霊、あのピンどもを打ち倒して見せます!」
うん、奈々、取り敢えず勝った後に俺に何かさせるのは確定なのね。うん、俺は軽く身の危険を感じ、身震いする。そして総司、お前の言っている事、普通にボーリングのルール説明だからな。
「圭介先輩、ボーリング得意なんですか?」
すると俺の隣に来ていた三枝さんが話しかけてくる。
「ん?まあ人並みだな。下手では無いと思うが上手すぎる訳でも無い」
「なら私達は総合力で勝負ですね。因みに力押しですか?それともコントロール重視ですか?」
因みに俺はコントロール重視。ガーターはまず出さないし、変に力まないように注意しながら投げるタイプだ。
「俺は後者。だから1投目は三枝さんで2投目は俺みたいな感じがいいかもな」
「ならそうしましょう、ふふふ、楽しくなってきましたね」
三枝さんは口元を緩ませ不敵に笑う。他のメンバーもそれぞれがお互いのメンバーと気合を入れたり、優しくアドバイスしたりと臨戦態勢に入っていく。そうして、ここに戦いの火蓋が切って落とされるのだった。
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