第19話 作戦

風呂から上がると妻は、「やっぱり、頭が痛いわ」と眉間にシワを寄せていた。

「そんな時は無理をしないで薬を飲んで一度眠ったら?」と言うと、「ごめん、そうさせてもらう」と薬を飲んで、寝室に行った。

赤ん坊を連れて行こうとしたので、「また泣き出したら、おまえも休んでられないだろう、朝までオレが世話をしとくから」と言うと、「ほんとに? 大丈夫?」と。

「大丈夫だよ。さっきもやったし、わからない事は調べてちゃんとやるよ」とスマホを振ると、妻は少し笑って「そう、じゃあよろしく。お願いします」と軽く頭を下げてから頭をおさえて寝室に行ってドアを閉めた。


さて。

こっからだ。

まずは、あの赤ん坊を家から出さなきゃ。

どうする?

妻は30分もすれば深い眠りに着くだろう。

けど、ちょっと待てよ。

オムツとミルクだ。

あんなもんが残ってたら「変な夢でも見たんだろう」じゃあ済まなくなるな。

寝室のドアをそっと開けて、「必要になったらすぐに使えるように、あっちに運んでおくよ」とオムツとミルクを運び出した。

よっし、よし。

これはすぐに玄関のそとに隠す。

そして、、あ、そうだ。あの赤ん坊が包まれていたタオルだな。あれも持って、、

財布、携帯、鍵、あ、身分証明書的なものも必要だな多分。上着を着よう。そして

よし。赤ん坊、泣くなよ。

頼む、泣くなよ。

オレは赤ん坊をそっとそっと抱き上げて、忍者のように素早く玄関にむかう。

幸い我が家から交番まで、走って10分ちょっとだ。赤ん坊を抱えてるからもうちょいかかるが、もう、こうするしか無いだろう。


オレは走った。

夢中で走った。

途中、赤ん坊が泣き出したが、かまわず走った。

「お、おまわりさん! た、助けてください!」


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