第23話 新型ウイルス少女
「お友達になろう! 〇〇少女ワールド! アハッ!」
真理亜、お友達20億人キャンペーン実施中!
「キャアー!? ストーカー!?」
恐怖に駆けて逃げていく一般人共。
「待ってー! 友達になろうよ!」
「キャアー!? ついてこないで!?」
「そ、そんな・・・・・・悲しい。クスン。」
これがこの物語の主人公、大神真理亜である。
「私はただお友達になりたいだけなのに・・・・・・。」
真理亜はお友達ストーカーであった。
「また楓に馬鹿にされる。」
楓は真理亜の妹である。妹は姉の真理亜に言った。
「このSNSのデジタルお友達時代に、リアルなお友達を作ることは、神になるぐらい難しいんだからね! おバカなお姉ちゃんには無理! 絶対にお友達なんかできないから!」
現代は、触れ合えるお友達より、SNSの空想のお友達の方がウケいた。家族や学校、会社の近い人間だと上下関係が発生するが、ネットの他人は自分に気を使って接してくれる。また、嫌になったらネットをつながなければ出会うことはないのだ。そこが支持される理由だろう。
「SNSのお友達なんて、邪道お友達よ。偽装お友達になんか負けるものですか。」
真理亜は現実に一緒に笑い、困ったら助け合える本当のお友達を求めている。
「臨時ニュースです。」
スマホに臨時ニュースが流れる。
「中国の武漢で発生した新型ロナ・ウイルスが流行し、全世界で感染者を増やし猛威を振るっています。お気を付けください。」
世界はパンデミックに陥っていた。ウイルスが全世界に感染してしまったのである。
「私とお友達になるのを断った人間なんか、新型ウイルスに感染してしまえばいいのよ! もがき苦しみなさい! アハッ!」
負けず嫌いな真理亜は自宅へ帰って行く。
「緊急事態宣言!?」
自宅に帰ってきた真理亜は家族から東京都の発表を聞かされる。
「そうよ。これからは自宅待機なんだって。」
母のヒバリ。
「やったー! 学校が休みだわ! アハッ!」
学校がなくなったことに喜ぶ真理亜。
「おバカなお姉ちゃんが、最強のおバカになっていく。」
妹の楓。小学一年生。
「最強のおバカ。それも悪くないわね。アハッ!」
おバカとポジティブで前向きは紙一重。
「ロナ・ウイルスか。ただの普通のウイルスならいいのだが・・・・・・。」
父の慎太郎は新型ウイルスの世界的な流行を心配する。
「一郎お兄ちゃんは元気にしているのかしら?」
〇〇少女ワールド4になっても一度も現れない兄の一郎を心配する真理亜。
「一郎お兄ちゃんはどこかで死んでるのよ。」
冷たいことをいう楓。
「こらー! そういうことは言うな!」
姉の威厳で妹を怒る真理亜。
「キャッキャッキャ!」
いきなり、ここは中国の武漢。
「世界を私のウイルスに感染させて、地球を汚染する人間の数を減らすのだ!」
甲高い少女の笑い声が聞こえてくる。
「おまえならできる。頼んだぞ、ロナ。」
少女とネットでテレビ電話している科学者風の青年がいる。
「ははあ。お任せください。ドクター・ウイルス様。」
少年の名前は、ドクター・ウイルス。このロナ・ウイルスの生みの親である。
「地球は汚れた人間に破壊されようとしている。お金や物を欲する欲に負けてしまい、石油や石炭は枯渇し、建設のために森林伐採、また原子力なる禁断の技術まで生み出し使用してしまっている。地球の温暖化、大気の汚染、未来の子供たちの明るく笑って生きる権利を大人が食いつぶしてしまっているのだ。我々の生きる青い地球が一部の傲慢な者たちの性で、今、滅びようとしているのだ!」
ドクター・ウイルスは自然保護者であり、地球が大好きだ。
「人々が気づかないのであれば、我々が腐りきった人間を粛正するしかない! 地球を守れるのは私たちだけなのだから!」
「ドクターウイルス! 万歳! ドクターウイルス! 万歳!」
ロナはドクターウイルスの演説に感動した。
「頼んだぞ。ロナ。地球を守れるのは君だけだ。」
「私だけ!? ドクターウイルスが私を信頼してくれている!」
ロナは偉大なドクターウイルスに心を奪われていた。
「はい! 必ずや人間を滅ぼし、きれいな水の惑星をドクターウイルスに捧げることを誓います!」
「いい報告を待っている。さらばだ。」
ドクターウイルスとの通信は途絶えた。
「ロナ様!? 大変です!?」
ウイルス一般兵が慌てて駆け込んでくる。
「なんだ!? 騒々しい!?」
「日本という国で、ウイルスバスターズというものが、ウイルスの駆除に乗り出したそうです!?」
「なんだと! 最優先ウイルス感染国の中国を離れるのはしゃくだが、私が出るしかないかもしれないな。」
パンデミック・ウイルス少女ロナは日本に旅立った。
つづく。
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