第17話 超能力の怖さ
「どこだ!? どこにアリアの体はあるんだ!?」
僕は妹を生き返らせるために渋谷の街を彷徨った。
「人が多すぎる!?」
渋谷の街は人混みで中々進めない。
「ノイズが多い!? 妹を探さないといけないんだ! 邪魔しないでくれ!?」
そして願ってはいけないことを願ってしまう。
「みんな! いなくなってくれ!」
僕が願った瞬間に、通行人の人々の姿が消える。
「え? これはどういうことだ!? まさか!? サイコキネシス!?」
超能力で通行人を消してしまった。
「静かだ。」
誰もいなくなった渋谷の街は静かだった。
「これは僕がやったのか!? 僕が願えば全てが叶う・・・・・・なんて恐ろしい力なんだ!?」
消えろと願えば消える。きっと「死ね」と願えば人を殺すこともできるだろう。
「もっと超能力を上手く使える様にならなければ・・・・・・。」
消えた人間はどこに行ったのか、と考えようとも思ったが、もし何かあったら怖いので考えないよう伏せた。
(キーン!)
僕は何かを感じ取った。
「この感覚は!? アリア!?」
妹のアリアを感じることに成功した。
「待ってろ! アリア! 直ぐに生き返らしてやるからな!」
妹が呼ぶ方向へ駆けていく。
「ここは!? 渋谷コルパ!?」
渋谷の再建された新しいファッションビルである。
「この中にアリアが! 待っていろ! 直ぐに助けるからな! テレポーテーション!」
僕は瞬間移動で時を超えて建物の中に侵入した。
「心無がたくさんいる!?」
黒い雲、黒い人型。少年も少女の心無が複数いる。
「サイキック・インスピレーション!? 」
ここの心無はコルパに夢や希望を託し大人になっていったであろう悲しい者たちが多かった。
「昔は良かった・・・・・・たくさんのお客さんがいた。」
「たくさん服が売れたぞ・・・・・・あの頃が懐かしい。」
「笑ったり泣いたり・・・・・・ここが私たちの青春だったんだ。」
昔は繁栄していたコルパ。心無は建物が新しくリニューアルされたことを良く思っていなかった。
「可哀そうに。昔は良かったんだな。心をここに置いていったんだな。勝手にビルを立て直されて、自分たちの思い出が踏みにじられたと思って泣いているんだな。」
右往左往している心無したちに同情する僕。
「ごめんよ。僕はアリアに会いに来たんだ。だから通してくれ。そうじゃないと、君たちを倒して進まないといけないんだ。」
しかし、心無しは僕の言葉には耳を貸さずに彷徨っている。
「帰れ・・・・・・コルパは永遠に不滅なのだ!」
心無たちが襲い掛かってきた。
「願え! 汝の願いごとは叶えられる!」
僕が願えば何でも願い事は叶う。
「悲しみは僕が振り払う! 悲しみなんか! 消えてなくなれ!」
超能力で生み出した剣が現れる。その名もサイキック・ソード。
「くらえ! 悲しみ! これが僕のサイキック・スラッシューだ!」
超能力の剣で心無を斬りつけた。
「もう我々の時代ではないのかもしれないな。」
「そうだな・・・・・・後は若い人たちに託そう。」
「ありがとう・・・・・・そして、これからの世界を託す。」
コルパの心無は悲しみと共に消え去った。
「過去にとらわれて、未来まで無くさないで。」
人間は歳をとる。昔は良かったと言ってしがみついていては、今を未来を全て失ってしまうかもしれない。過去の栄光にとらわれて大人になった悲しい心無たちだった。
「おかしい!? どこにもアリアがいない!?」
最上階まで登って来たがアリアの体に部分には出会わなかった。
「もう一度、アリアを感じるんだ。」
僕は神経を研ぎ澄ましアリアを探す。
「どこだ!? どこにいるんだ!? アリア!」
千里眼の様にコルパの中を隅々まで探す。
「違うのか。ここでは・・・・・・。」
僕は見つからないの諦めて帰ろうとした。
「お兄ちゃん!」
その時、僕を呼ぶアリアの声が聞こえた。
「アリア!? テレパシーだ!? アリアが僕を呼んでいる!」
僕とアリアの魂は共鳴して呼び合っている。
「上だ! 上からだ! まだ上に行けるんだ!」
アリアの声は確かに上から聞こえた。
「待っていろ! アリア! 必ず助ける! 僕は全てを取り戻す!」
僕はアリアを信じて、テレポーテーションで見えない上階に飛んだ。
つづく。
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