第12話 卒業式が無くなりました。
「見事に警視庁の結成した対ウイルス組織、ウイルスバスターズはウイルスモンスターを倒すことに成功しました。」
テレビのニュースで華々しいデビューを果たしたウイルスバスターズのことが報道されている。
「何がウイルスバスターズよ。本当は私が倒したのに。破壊兵器がウイルスに効く訳ないじゃない。」
ここは大神家の食卓。姉の真理亜と妹の楓が食事を食べている。
「まあまあ、抑えて。お姉ちゃん。私たちがウイルスの抗体を持っていると世間に知れたら拘束されて殺されるわよ。魔女狩りよ。」
知られてはいけないのだ。絶対に知られてはいけないのだ。
「それは断る。」
即座に拒否する姉。
「破壊兵器でウイルスは倒せない。でも私の隠れ蓑に使わせてもらいましょう。大活躍できるわよ。ウイルスバスターズ。アハッ!」
真理亜は表舞台に出ることなく、ウイルスモンスターを退治し、自分と楓に効くウイルスの抗体を探すことにした。
「悪知恵だけは働くんだから、お姉ちゃんは。」
「違うわ。これは前向きな活用よ。アハッ!」
姉妹は死んだ両親の保険金で日々の生活を送っている。
「ああ~、卒業式が無くなっちゃった。楽しみにしてたのにな。」
新型コロナウイルスの世界的な拡大感染に緊急時以外の外出は原則禁止や控える様になっていた。
「仕方がないよ。卒業式の思い出とウイルスに感染して死んじゃうことを考えれば、どちらが大切か分かるでしょ?」
「分かんない! だって私はウイルスに感染してるから、外を出歩いても大丈夫だもん! アハッ!」
妹の楓の方が姉より大人であった。
「それにマスクやトイレットペーパーやティッシュ箱も買い占めされてお店には無い状態。もう嫌になっちゃうわ。病院のマスクを医者や看護師がメルカリで売り飛ばすんだから日本人のモラルも終わりね。そういう人間が働いているのだもの。」
「そうね。お姉ちゃんに言われるようじゃ、本当におしまいよね。」
「それ、どういう意味?」
「アハッ!」
困った時は笑って誤魔化す妹。
「ウイルスバスターズって、〇〇少女ワールドを覗いても独立して普通にゲームにできそうね。」
通称、VB。警視庁の対ウイルス特殊部隊のことである。
「宇宙ロボットでやっていたことを、人にパワードスーツを着せて、ロボットでなくウイルスモンスターと戦わせる。リアル異世界ファンタジーね。」
「特殊部隊の恋とかいいわね。BLで。アハッ!」
「BLって何?」
楓は子供なのでBLを知らなかった。
「え!? え~っとね、ブレンドコーヒーのことよ!」
「そうなんだ。」
「アハッ!」
こうして〇〇少女ワールドと地球は回っている。
つづく。
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