第3話

「別に、僕とは話さなくても、君の事を好きな人はたくさんいるでしょ?」

「そう思う?」

「うん」

彼女は、首をかしげる。


「確かにね。でも、他の子たちは、ある程度わかってる。でも・・・」

「でも?」

「私は、君の事は何も知らない」

「僕の事?知らなくてもいいでしょ」

「どうして?」

「君は僕の事は、眼中にすらない。」

「やはり、そう思ってたんだね・・・」

彼女は、悲しそうな顔をした。


「○○くん、それは逆だよ」

「逆?」

「私は君の事を、いつもそっと見ていた。お話したかった。なのに、君は気がついてくれなかった」

「エスパーじゃ、あるまいし・・・」


彼女は、宙から下りてきた。


「私は君の事を、友達と思っている。ううん、むしろそれ以上・・・だから・・・」

「だから?」

「君の事を、知るまでここに付き合ってもらうわ」

「そんな時間は、ないでしょ?笹木さん」

「大丈夫。それまで、時間は止めておく」

「というと?」

「そう。それまでは夜明けは来ない」

とんでもない事を、しでかすな・・・


神と言うのがついているのか?

なら言いたい。

他にする事はないのかと・・・


「でも、時間の外にいるっていうのは、時間が動き出せば、僕だけが歳を取っているのでは?」

「それなら大丈夫」

「どういうこと・・・」


「君にも、一度死んでもらうから・・・」

「殺す気か?」

「違うよ。幽体離脱。つまり、朝は来ない」


なるほど・・・

って、納得できない。

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