第2話

その日の夜。

寝つけなかった僕は、ベランダに出た。


ここは郊外にあるせいか、比較的だが星は、たくさん見える。


「あの子は、もうお星様になったのか・・・」

少女趣味な事を、考えてみる。


「まだ、なってないよ」

「えっ?」

その声に、驚いた。


「やあ、元気?」

そこには、死んだはずの彼女、笹木みどりさんがいた。


「笹木さん?どうして・・・」

「どうしてって・・・君に会いにきたんだよ」

「何で?死んだんじゃ・・・」

「そうだよ。だから浮いているんじゃない」

「幽霊?」

「まあ、世間一般には、そう言われているね」

「あっそ」

僕の態度に、逆に彼女は驚いていた。


「幽霊だよ、私・・・怖がらないの?」

「うん」

「どうして?」

「何かの、ドッキリだろ?」

「ううん。本当に・・・」

どっちでもいいや。

おそらくは、夢だ・・・


「でも、どうして僕のところに?」

「なぜ訊くの?」

「笹木さんとは、お話したことは一度もない」

「それで?」

「恋人はおろか、友達ですらない。顔見知り以下にすぎない」

「そう?私は特別な存在だったんだけどな・・・」

彼女は、首をかしげる。


「そうそう、質問に答えるね」

「うん」

「なぜ、君の前に現れたか、その理由は・・・」

「理由は?」


【君とはまだ、お話したことがなかったから】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る