夜明け前

勝利だギューちゃん

第1話

その日は、朝から雨が降っていた。

ここ数日の日本晴れがウソのように、天は泣いていた。


まるで、ある人物の死を悲しんでいるかのようだった。


クラスメイトの、笹木みどり


天真爛漫で自由奔放で、クラスの誰からも愛されていた。

僕ひとりを覗いて・・・


僕は彼女と話をしたことはない。

無理もない。

僕のような、冴えない異端視は、眼中にないのだろう。


なので、おそらく彼女の歴史をドラマか漫画にした場合、

僕の登場シーンは、ない。


その彼女が、逝った。

死因は自殺。

服毒自殺だ。


遺書には、こう書かれていた。

「もう朝は、来させない」


彼女の葬儀の日、遺族から公開された。

彼女の意思だ。


僕は、その場にはいなかった。

後から聞かされた。


彼女は、僕が葬儀に参列するのは、望んでいないだろう。

なので、さけた。


形だけの参加なんて、迷惑だろう。

僕も、それを望む。


去る者は日々に疎し。


どんなに偉い人や、身近な人が他界しても、時間が経てば、薄れて行く。

それでいいし、そうあるべきだ。

なので、周りは普段通りの生活に戻る。


まあ、彼女に嫌われていた僕には、関係ないが・・・


そして、彼女の死から四十九日が過ぎた日。


彼女の遺書の意味を知ることとなる。

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