それぞれの課題

第25話 それぞれの課題1


ルーキーフェスから1週間が経ち今日で1学期が終わり、明日から夏休みが始まろうとしていた。



「明日から夏休みだけど、ハメ外し過ぎるなよー。あと、バンドで練習するのも大切だけど息抜きも必要だからな? それと、夏休み中も学校は空いてるから申請すれば演奏室使っても良いからな? じゃーまた2学期に会おうなー」



相変わらず気の抜けた挨拶で1学期の終わりを告げたガロンはスタスタと教室を出て行ってしまった。



「皆さん夏休みの予定は決まってますか?」


「私は別に無いわね」


「俺も特に無いかな」


「俺もねえな」


「皆さんの都合が合う日は練習しませんか? 」


「もちろんそのつもりよ! ルーキーフェスの悔しさがいつになっても無くならないわ」


「だよね! 毎日練習したくて仕方がない」


「あー1つ提案なんだけど」


「どうしました?」


「練習さ、学校じゃなくて俺の家でやらねえか?」


「私達は全然良いけれど、家族の迷惑にならないかしら?」


「そうだよ! まして、楽器使うんだから絶対迷惑だよ」


「それなら気にしなくていい。俺の家スタジオ結構あるから」



「「「はっ? ……」」」



キッドの一言に驚きが隠せず、3人は口を開けたまましばらく固まっていた。



「家にスタジオがあるんですか?」


「しかも結構って何よ!」


「1つあるだけでもすごいのに……ちなみにスタジオ何室あるの?」


「そんなに無えって。 5だ5!」



(5って……)


(ありすぎですよ……)


(普通の感覚がズレてるわね……バカよ)



「な、なんだよ……」



エバ達の軽く引いた顔を見てキッドがバツの悪い顔をした。



「と、とにかく! 夏休みは俺の家でやろうぜ? 他のバンドに練習してるとこ見られんのなんか嫌なんだよ」


「そういう事ならお邪魔しますか?」


「そ、そうね」


「だね……」


「じゃあー早速明日から来るか?」


「ぜひ!お願いします」


「また明日からバンド活動出来るわね」


「早く練習がしたい!」




こうして、夏休み中はキッドの家で練習をする事が決まった。ルーキーフェスが終わってから本格的にバンドの練習が出来ていなかった。エバ達は明日からバンドに打ち込めると、目を子供のように輝かせていた。

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