第22話 キングダム2



「続いてのバンドはこいつらだー! 男子3人女子2人の5人組で構成されたキングダム!DJとギター2人とハープとヴォーカルと言ったとてもバランスの良い5人組だ! 彼らは一体どんなライブを見せてくれるのか! それではキングダムのみんなよろしく!」



ガイヤのアナウンスが終わり、生徒達の注目はステージに向けられた。 会場の照明も消えいよいよキングダムのライブが始まろうとしていた。



「バンッ」



バンッという効果音とともに、ステージ上のコウに向けて一筋の光が灯った。



「はーっ……」



コウが吸った空気の音がマイクを通して会場に広がる。 次の瞬間、会場を包み込むのはコウの男子とは思えないほど透き通った高音の歌声。キングダムのライブの始まりはコウのアカペラから始まった。



「綺麗な声……」


「レオだけ警戒してたけど、ヴォーカルもこんなにレベル高いのかよ」


「いきなりアカペラってかなり信頼されてるのねあのヴォーカル」


「すごいですね」



エバ達同様に他の生徒達もコウの歌声に驚き、みなが聴き入っていた。



「シャラーン……」



コウの歌声に遠慮気味に入ってきたマリノのハープ、ハープを奏でながら美しくコウの周りを舞い、ステージの照明とマリノのハープでとても幻想的な世界を作り出していた。



「あの女なかなか上手いじゃないの」


「なかなかなんてレベルじゃないですよ。あんなに綺麗で透き通った音が出せるようになるまで一体どれだけ練習してきたんですか? って聞きたいぐらいです」



マリノのハープの上手さにアメリが驚いている間に、ローズのギターとロットのDJが入ってきて曲調が変わってきた。最初はゆっくりとした曲調だったが、アップテンポな激しい曲調になってきた。ロットのDJが一気に加速し、先程まで魅入っていた生徒達だが、今度は声を出し、腕を振り上げとても盛り上がっていた。そこにローズのギター、マリノのハープが加わり、完全にアップテンポな曲調に変わった頃、コウの声も先程の透き通る高音から少ししゃがれている聴く人全員が熱くなるような歌い方に変わっていた。



「曲の構成が良いわね。バンドの聴いてる人が一体になれるような曲ね」


「確かに。身体が勝手に動いちゃいそう」


「初めて聴く人でも盛り上がれますね」


「こんなふうに演奏する事も出来るんだな」


「そうね。あと何と言ってもヴォーカルの声が良いわね」



エレナの言う通りコウの声は観客を惹きつける声であった。こればかりは努力だけでは身につかない才能と言えるだろう。



「「「うー! おい! うー! おい!」」」



会場のボルテージが最高潮に達し、キングダムと生徒達が一体化になっていた。



「ドゥーン……」



DJの低音の余韻を残しながらキングダムの演奏が止まり、コウの歌声も消え照明も消え、先程まで盛り上がっていた生徒達は困惑した。



「……」



3秒程だろうか。会場の時が止まった。




そして……









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