第6話 てーさつもくてき

 不審者はサングラスとマスクを外しぼうしをとると、少し乱れた髪を整え後ろの髪留めの位置を正した。

 コートを脱げばこの学園のブレザーが姿を現す。どうやら二年生らしい。リボンが青色だ。

 丁寧にコートを折りたたむさまは、先ほどとの印象とは打って変わって清楚な雰囲気を漂わせる。綺麗な人だな、ときらりは純粋に思った。

 

「ごめんね。偵察途中だったからこんな格好してたんだ」

「偵察にしちゃ目立ちすぎじゃないかー……?」


 うぶがぬったりとした視線を送るが、先輩は特に気にした様子も無い。あとさらっとタメ口だがそれも気にしていないようだ。


「まぁいいや、偵察って何の偵察なんだー?」

「それは勿論天文部だよ。あんなに人気なのって変だよね?」


 先輩が天文部の方に目を向けるのでうぶも一緒に目を向ける。


「まぁ確かにすごい人気だよなー」

「だよね? きっと色々やってると思うんだー。宣伝とかー、呼び込みとか」


 そして先輩は人差し指を立ててにこやかな笑みを浮かべる。


「あと集団催眠とか?」

「ねーよ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る