第5話 ふしんしゃ

 うぶが呆れ交じりに息をつく。


「あのさぁー、あんまり自分を卑下するなよなー」

「だってぇ……」


 きらりがマスコットキャラクターのような目をして涙を浮かべる。

 そんな姿にうぶがやれやれと息をつくと、別のところから声がかかった。


「ねぇお二人さん、ちょっといいかな?」

「え」


 きらりたちが声の方を見ると、そこにいたのはコートに身を包んだ不審者。帽子をかぶりサングラスとマスクをしているせいで顔が見えない。

 二人が固まると、場が静まり返る。

 ややあって、うぶが沈黙を打ち破った。


「きらりの方が絶対美味しいけど、食べるなら私を食べろ!!」

「う、うぶちゃん……!」

「それ庇ってるのかな?」


 感動するきらりとは裏腹に、不審者は頭にはてなを浮かべた。

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