【一章】第十九話
【ダンジョン地下5階層】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ボスの広間
「まっこんなもんだろ?」
曲刀と短刀の中間のようなデザインの刀を刀置いたビリケンが格好良く呟くと
ポカリとミーコが後ろ頭を軽く殴った
「いっってーなっ!剣の鞘で殴んなよ!」
「あんた、攻撃くらいすぎなのよ!モモが居なかったら何度か危なかったでしょ!」
「ぐっ…仕方ないだろ?俺のスキルは近づかないとダメなやつなんだから!」
「まぁまぁ…私が居るんだし、大丈夫だよ?」
「そっそうだよ…おれはモモレンが早くスキルに慣れるためにだなあ、仕方無ーーーーーーくっ!怖い思いを我慢して戦ってるんだ!」
「嘘つけ、何階もヤベって顔してたじゃないか?」
「きっキッド君っよく見てるねえ?」
「ちょっと待って…弱っちいオッサンはもう良いからっアレ…多分Aランクだよ?」
「だっ誰が弱っちい………おお?本当だ……一体どうなってんだ?」
ミーコの言葉で全員が広間の中心に視線を移動させるとそこにはSランクとはいかないが、
濁り一つ無い綺麗な球体が真っ白に輝いていた
「間違いないな…これはAランクだ、これでゴールドまで後2人」
「ゴールドになったら自分の領地持てるもんねっ!」
「あぁ……其処でなら、今よりずっと自由にできるもんな」
ダンジョンを攻略するのが最終目的であるのは変わりないが、自分の領地を持てれば、目立たずに戦力を集める事が可能になる、奴隷を解放したって人口差は奴隷5千人に対して王国民は200万を超す、自分の領地で戦力を集めるのは解放前の必須条件の一つだった、それに自分の領地内なら、奴隷の扱いもほぼ自由に采配できるのが何より大きい
「2人の言う通りだ……割るぞ…」
リキッドが球体に触れると光の膜が粉々に飛び散り……1人の寝巻き姿で、白い虎のぬいぐるみを抱いた、小さな女の子が寝惚けた顔をしてフラフラしていたが
「…むにゃ………なっ…に?……ちっ……ちかん?」
目を擦りながらボヤけた目がハッキリしていくと、同時に顔色が恐怖に滲んでいくと、白い虎のぬいぐるみがプラズマのような光がチリチリと始め出した
「異世界へようこそっ!とりあえず大人しく話を聞こうか?」
ここで訳も分からず暴れられても、俺は大丈夫だけど他の3人は分からないため、ひとまず話を聞くように命令すると
「……??」
急に話せなくなった事に驚くが、強制的に話を聞く姿勢にされた事にも違和感に不安そうな顔をしていた
「まず、俺の名前はリキッド、それと痴漢じゃないから安心してくれ」
「私は、ミーコってよんでね?」
「俺はビリケンで良いぞ」
「私はモモレン、モモでも良いからね」
ひとまずは全員の紹介を聞きながら、少しだけ大人しくなったので会話を許可していく
「はっはい……それでここ何処なの?貴方達がらっ拉致したの?」
「小さい子の割にしっかりしてんな?お嬢ちゃん、年は幾つかな?」
お嬢ちゃんという言葉に小さい子の目つきが極端に悪くなった
「はあああ?誰がお嬢ちゃんだジジイッ私は成人だ!ハタチだ!誰がちっさいって?コロスぞジジィ!」
………小さいと子供扱いは厳禁だとその場にいた3人は思ったが
「だっ誰がジジィだこのガキャあぁ!ハタチ?なんんだそれ?嘘つけ背伸びすんなチビッ成長小学生から止まってるってかボケええ!」
小さい子が震え始めながらビリケンに近づいていくと
「お?泣いちゃうか?泣いたらお前の負けな、謝れよ?絶対あやま、あ”びゃびゃびゃいいいいぎぎぎぎいいいいぎややああああああああああああああああっ!」
胸に抱きしめた白い虎のぬいぐるみの電撃がビリケンに放たれた
「おい、その辺で止めといてやれ……それにしても魔法?珍しいスキルだな…」
「ふんっ………ジジィなんか大っ嫌い…シネッ」
べーっと舌を出すと、プスプスいってるジジ…ビリケンから離れていった
「ふぅ…まぁジジィのことは放っておいて、貴女の名前は何て言うの?私たちは名乗ったわよ?」
「私は………シャンショッイデ」
(噛んだ)
(噛んだわ)
(間違いなく噛んだ)
「コホン…まっ前川美香よ」
(言い直した…)
(誤魔化したのね)
(顔真っ赤になってる……可愛い)
「じゃあミカ、取り敢えず一から説明しようか?」
「いきなり呼び捨て?ちょっと小さいからって調子に乗ってるんじゃないでしょうね?」
「取り敢えず、俺の話は黙って聞こうか?」
「っ!……っ!」
落ち着きのないミカにこの世界の事、自分の立場を教えて上げた、
そしてAランクの奴隷ということも有り、この世界に染まっていない今だからこそ、
これからの俺たちの行動の方針についても説明することにした
「さて…説明は理解できたか?そうならもう話して良い」
「あっあっ…………本当に話せるようになった……」
「だろ?さっき説明したように君をこれから王国に連れていき奴隷として登録する、済まないがこれは必要な事だ」
「話を聞く限り………私は戦闘奴隷って奴になるんじゃないの?」
「まぁ、その通りだがAランクとはいえいきなりじゃ無い、訓練施設で扱かれて体力をつけてからになる、ダンジョンはそんなに甘く無い」
「そう……分かった……というより、行くしかないのね?」
「そういう事だ……まぁ君の命は保証するから安心していい」
頷くミカは目に見える程早く落ち込んでいったが
プスプスしていたビリケンが、親が子を慰めるようにぶっきらぼうに頭を撫で
「心配するんじゃねーよ、ガキんちょ、お前が心配する程ひどい異世界ライフにはきっとならねーよ」
「だっ誰が………ガキんちょよっ!!」
あびゃびゃああああああっ!
懲りないジジィだが、ミカの顔色は少し明るくなっていた
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