第43話幕間 嫉妬の魔王の悪戯
ウフフフフ……。
懐かしい匂いだと思ったら、こんな所で同胞と出逢えるなんてね。奇遇というか、運命かしら。
すごーく久し振りで、柄にもなく興奮しちゃったわぁ。
う〜ん。それにしてもあの男の子、私好みの子だったわぁ。見た目は一見どこにでもいる普通の子だったけど、瞳の奥に微かな狂気が隠れていたものねぇ。
気に入らない宿主はすぐに食べ殺しちゃう蝿と上手く共存してるのも気になるわぁ。
あの男の子の隣にいたか弱い女の子は彼女かしら?
もしそうだとしたら妬けちゃうわねぇ。嫉妬しちゃうわねぇ。
う〜ん。
最近面白いことがなくて退屈してたし、少し遊んでみようかしら。
「クソ、影山の野郎……また邪魔しやがって」
「マジであいつウゼェよな」
「一々突っかかって来やがってッ」
「本当、何様だって話だよな」
あらあら、まぁまぁ、ウフフ。
丁度良い所に、丁度良いオモチャを見つけたわぁ。
「そこの坊や達、そんなに怒って何かお困り事かしら?」
「うお!ビックリした、何だこの美女!?」
あらあら、美女だなんて。良い子じゃない。
「いや、別に困ってる訳じゃないっすけど……」
「そんな事言わないで、私に話してみない?」
「いや……でも……」
「田中ぁ、別にいいだろ。めっちゃ美人だし、折角話を聞いてくれるんだしよ」
「遠藤、やっぱり止めておこうぜ。いきなり声掛けてくる辺り、なんか怪しくねぇか」
「そうか?」
あらあら、まぁまぁ。一人だけ悪い子がいるわねぇ。そういうのは駄目よ、すごーくつまらないから。
「“坊やは私に話がしたい、そうでしょ”?」
「……はい」
ウフフ、良い子ね。
さて、そこの物陰にでも入って話を聞こうかしら。
私は坊や達を連れ立って、静かに移動する。
そして話を聞いてあげるの。
「――て事なんですよ。マジで影山の野郎ってムカつくんすよね」
「そうねぇ」
う〜ん、とても面白い話も聞けたし、坊や達には私の“悪戯”を手伝って貰おうかしら。
私は蝿の子を一番嫌っている坊やに近付き、そっと抱擁する。
「ちょ、えっ!?」
「大丈夫、すぐに終わるから」
慌てる坊やに耳元でそう囁いて落ち着かせ、私は坊やに
よし、これで準備は整ったわぁ。
坊や達と別れて、私は堪え切れず微笑んでしまう。
ウフフ。
さ〜て、どうなるかしらね。
◇
ウフフ、ウフフフフ、ウフフフフフフフフ!!
坊やの眼を通して視ていたけど、蝿の子はやっぱり私好みだわ〜。
そ・れ・に――
『レヴィアタンって奴にも落とし前を付ける。次に会ったらぶっ殺してやる』
ハァァ〜〜〜〜イイッ、イイわぁ!!
殺意が込められた眼差し。
憎悪を孕んだ声音。
その怒り、その憎しみが、全て私に対して注がられているの。
もう最高、最っ高よ!!
こんなにゾクゾクしたのは、身体の芯から震えたのはいつ以来かしら。
ダメ……私、蝿の子のこと好きになっちゃうったかも、ウフフ。
こんなステキな感情を抱くのも久しぶりね。
蝿だけじゃなく、他の魔王達も目覚め始めているし、
久しぶりに、楽しい時代になりそうね!
さて、次はどんな
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