仕事をこなしているうちに、平常心を取り戻して来た。






お昼休みになり、圭介は食事をするために一階に降りる。






「やっぱり、熱ぽいな…


美子の言った通り今日は休むべきだった。」






無理をして、出社したのだから具合が悪くなって当たり前、


何故、素直に休まなかったのか?






今になって悔やみ始めた時に、驚きが現れた。






「唯。」






圭介の目の前に、娘の唯が立っていたのだ。




「パパ。」






会社の入り口で親子は対面した。






「唯。


学校はどうしたんだ?」






「うん、パパとママが…」






全てを言わなくてもわかる。




低学年の娘の唯が、夫婦喧嘩の心配をして、学校を飛び出して来たのだった。






「唯、心配かけてごめんな。」






「うん。」






頷くと唯は帰ろうとした。






「待ってくれ、唯。




危ないから家まで一緒に行くよ。」






「大丈夫だよパパ、近くにママがいるから。」






そう言うと唯は駆けて行った。






「美子のヤツ、会いに来たなら、顔ぐらい見せれば良いのに。」

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