仲直り


圭介は、怒っていた。




「何だよー、美子のヤツ。






あんなに、腹を立てなくてもいいじゃないか。」






圭介と美子は、朝ぱらからケンカをしてしまった。






内容は、詰まらないことである。






美子が。


「あなた、そんなに疲れているのなら、今日は仕事休んだらいいじゃないですか。」






別に美子は怒って言った訳ではない、圭介の事を気づかって…本当に心配して、真心で語りかけたのだ。






「俺が、今日の事にどれ程の時間と労力を費やして来たか、


美子には分からないだろう。」






「わかるわけないじゃない…


私は心配で仕様がないのよ、あなたこそ、わかってよ。」






「もう、いい。」






バタン。






圭介は、力いっぱいにドアを閉めて、


美子の話を聞かずに家を飛び出したのだった。






「…美子のヤツ…」




何故、圭介がここまで腹を立てたかと言うと。






実は、圭介自身も迷いが有り、それを振り払うために、怒りをあらわにしたのだった。






つまり、怒りは自分自身に向けた物で、美子には八つ当たりしたような気持ちになっていた、


実際八つ当たりなのだから仕方ない。






そうなると、直ぐに気持ちが沈み始める。




「ああ、何て酷い事をしてしまったのだろう。」




美子は心配してくれただけなのに。

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