あのサラリーマンの様に、顔を喰われる…








事はなかった。






「あれ?おじさん…此処にお菓子あるじゃん。」






え!?


圭介の胸ポケットにスーパーの店員がくれた物が入っていたのだ。






スーパーの店員はお菓子を買ってくれた圭介に、おまけに、


お菓子をくれていたのだ。






子供はそのおまけのお菓子を受け取り立ち去った。






「やったー、


助かったぞー。」






圭介はスーパーの店員がおまけにくれたお菓子で九死に一生を得た。




お菓子を買ってくれたお客に、お菓子のおまけなんて…などとは微塵も思わず、


只、店員に感謝するのだった。 





圭介は喜びの声をあげ、ガッツポーズをする。






「おっと…


早く家に帰ろう…」






安堵とともに深くため息をつく。






だが、凄まじい恐怖の中走って、這いつくばったせいか体が動かない、


少しづつ体を動かし玄関前に進み呼び鈴を押した。






ピンポーン






美子が迎えてくれた。






「あら、あなたお帰りなさい…


ってどうしたの、泥だらけじゃない。」






「あ、いや…


転んじゃって…


あははは。」






スーツの泥を美子が払ってくれた。




「もう…いつまでも子供みたいなんだから、あなたは…






卵は大丈夫かしら?」








卵の心配をされ少し寂しい気持ちになったが、それでも生きてまた美子と唯に会えてよかった。






美子の直ぐ後ろにいる唯も心配そうに顔を覗かせる。






「おとうさん…大丈夫?」






「ああ、唯大丈夫だよ、怪我はない。」








「よかった…






あっ、おとうさん 。」










「なんだい、唯。」 




少し、もじもじして唯が喋る。
























「トリック、オア、トリート。」






















圭介の恐怖は終わらない。 




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