第137話 準備③処遇について
「これからの処遇をどうするのか」
今や帝国にはなくてはならない人材と広く評価されるコムギ。
国の危機を救うべく魔物を狩り、食糧回復に努め、ドワーフとの親善の橋渡し。さらには魔石の確保と神獣を手懐けた見事過ぎる実績に見合う処遇と報酬とはなにがあるだろう?
ブーランジュ王国との契約により、公爵令嬢アンの代わりに帝国へ移り住んでから当初の予想を上回る、いや――裏切り過ぎる程、貢献してくれた
一同は皇帝から問いかけられるも、答えを出せずにいる。
「コムギの働きに今の帝国では見合う物が与えられないな……」
そう。皇帝が呟く通り、これから回復していくであろう帝国にはまだ経済的に余力はない。かと言って、見合う地位にしてもさすがに血筋が不明なコムギには与える地位が余りに少ない。あっても国の閑職になってしまうので評価としては宜しくない。
どうしたものかと、アタマを悩ませる中。
ポン、と手を打ち、名案を思い付いたのは力の賢者カマ・ン・ベール。
「――良い考えが浮かんだわ♪
こうゆうのはどうかしら――?? 」
「「「「「んん??」」」」」
「―――………」
「なるほど!
それはいい!名案だ!」
「えぇ!これなら間違いないですね」
「しかし、本当に大丈夫でしょうか……??」
「なに、これなら間違いないだろう!
コムギも納得してくれるはずだ、うん」
提案された考えを聞いて、よし、これで行こう、賛同し頷き合う。
一人を除いて。
「あら、どうしたのリーンちゃん?
暗い顔して――」
「え……あ!
いや、その……、なんでもないです!!」
「そう?
なんだか――
悲しそうな顔をしていたわよ?」
「――っ……!!」
「どうした、リーン?
体調が優れないなら――」
「大丈夫であります!
用事を思い出したので失礼します!!
――サンちゃん、行くでありますよ」
「どこへ行――ぐえっ!?
く、苦しいッピ……」
無駄に力強く締め付け、ぐったりしたサンちゃんを抱きかかえ、バタバタと
動揺から、声は裏返り、悲痛な表情を隠しきれないのは思慕の強さ故か、はたまた若さ故か。 その場にいる全員が彼女がわかりやすく動揺する理由に思い当たっていた。
「まぁ……予想通りの反応だな。
わかりやす過ぎる程に」
「そうですね、狼狽するのはやはり想い人だからでしょうね」
「んん~若いって良いわねぇ♪
リーンちゃん、素直で可愛い、良い子だもの。アタシ応援したくなっちゃうわぁ!」
「――そうなると、実際どうしますか?
先程の提案通りにコムギさんの処遇を考えると、リーンには可哀想な話ですね」
「しかし、そうは言っても他に手はないだろう?」
「あの様子だと仕事が手に着かなくなる恐れがありますよ?意外と繊細な面もありますし、それが色恋沙汰なら尚更……」
「「「「うーん……」」」」
「あっ、それならぁ♪」
さすがは賢者。
次から次へとアイデアが出てくるあたり頼りになる……真っ赤なメイド服を着たガチムチ。なんだろう、と視線を向けると色々な意味で視覚的にかなりキツイものがあるのだが、この場に於いては注目せざるを得ない。
「賢者殿、何か妙案でも?」
パシェリが視覚的なダメージに耐えながら問い掛ける。さすがは勇猛果敢な斥候隊長、見事に切り込んでいく。
「んふふ♪
さっきの考えにプラスして、皆が幸せになれるプランを思い付いたわ!
ん~惚れ惚れしちゃう!
さすが――ア・タ・シ♪」
((((ひぃぃっ!!!?))))
――ゾワワッ!!
注目を浴びる中、ウインクしながら返答する賢者。もたらされたダメージは臨界点スレスレ。今にも卒倒しそうな程にキツイ……!!
「そ、その……プ、プランとは……!?」
必死に耐えながら問うパシェリはさすがだが、すでに瀕死の状態。げんなりと青ざめながら、気力を振り絞っているのが見てとれる。
「ん~聞きたい?
まさに名案よぉ〜〜ん♪
そ・れ・は・ね――……」
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