第132話 報告と驚愕②賢者再び
「神獣様、いやサンちゃん様の凄さはよくわかった。失礼を謝罪致します……」
「い、いや、こちらこそやり過ぎたっピ。
ごめんなさいだっピ」
「はい、よく出来ました。
サンちゃん、えらいでありますよ」
「えへへ〜……やったっピ」
ようやく回復した皇帝と謝罪しあい、頭をリーンに撫でられて嬉しそうな
端から見ると完全に親子みたいだ。
リーンの方が親というのは意外というか、これが母性というやつなんだろうか?
「なんだかリーンの意外な才能を見たな」
「全くですな、しっかり母親してますね」
「これならいつ嫁に行っても……くぅっ」
「またこの人達は……」
同じ様な感想を抱く皇帝達。
「ん?」と不思議そうな顔をするリーン。
当の本人は無自覚というあたり天性の資質なのだろう。
――クーッ……
小さくお腹が鳴る音がする。
音のする方を見ると――。
「あ、アタシじゃないでありますよ!?」
「――てことは?」
「……お腹が減ったっピ、小さいから魔力消費が激しいっピね……」
なんだかしょんぼりもしているような少し寂しげに語るサンちゃん。
「じゃ、ちょうど昼食の時間だし、サンちゃんが好きなサンドイッチを作るとしますか」
「やったーっピ!
ご主人のサンドイッチ大好きだっピ!
はやく食べたいっピ!!」
「じゃあアタシも!」
「ずるいぞ、我の分も頼む」
「あ、陛下!抜け駆けはダメですよ」
「我々の分もすみませんが、よろしくお願いいたします」
「よっし!
久しぶりにパン屋の仕事したかったし、どーんと任せときなさい!」
「「「「「やったーっ!!」」」」」
よーし、腕が鳴るぞ。
食堂に何があるかな、良い食材が有ればよいんだけど……。
「……あらん♪
ちょうど良い時間に来たようねん♪」
「「「「「こ、この声は!?」」」」」
振り向くと執務室の入り口に佇むゴリゴリのマッチョ……マン?全身を真っ赤なメイド服と三角帽に身を包むその姿は異様としか良いようがない。
世界に3人しかいない賢者、彼の名はカマ=ン=ベール。
「お・ひ・さ♪
みんな元気にしてたかしら?」
「な、なんだ、いきなりどうしたカマ!?」
皇帝以下、いきなり彼の出現に戸惑う。
本当にいつの間に入ってきたんだ?
「たまたま近くに寄ったんだけど、城からなんだかもの凄いチカラをビンッ☆ビンッ感じちゃったから、気になって来たのよぉ♪」
メイド姿でクネクネとポージングしながら筋肉アピールをするおっさんの姿はなかなかキツいものがある。リーンもひきつり気味な作り笑顔、サンちゃんに至っては初めて遭遇する『珍獣?』の姿に驚愕しつつ興味深そうに見ている。
「あれは、なんだっピか!?
今の人種には性別を超越した者がいるんだっピか??」
「あらぁ?可愛らしいコね!
喋る鳥ちゃんなんて、ステキ♪
どこで――…… んん?……このコ??」
顎に手をやりながら、至近距離でまじまじと抱きかかえられているサンちゃんを見るカマさん。同時に、接近してきた巨漢の迫力に圧倒され、たじろぐリーン。
「あ、あの……」
「あら、ごめんなさい♪
カイザーちゃん、このコね?
――あのスッゴイ魔力を出したのは」
「そ、そうだが……」
やはり苦手意識があるのだろう。
明らかに皇帝以下、男性陣は畏縮している。まぁ確かにナニをされるか、ちょっとわからない怖さというか不気味さを感じるからね。
「コムギちゃんもなんだかイイモノを持ってるみたいじゃない――見・せ・て♪」
――ゾゾゾッ!!!
いかん、これはいかん!
頭の中の危険を感知するセンサーが最大級の身の危険を告げている。
ゆっくりと胸に当てられた人差し指をつつーっ、と胸からへそまでなぞるように撫でられてる感触が気色悪い!
早くなんとかせねば……!
「イイモノってこれですかね?
はいっどうぞ!
お貸ししますから、後で返してくださいね、――じゃっ、サンドイッチ作って来ます!」
((((逃げたっ!?))))
ポケットから琥珀色の雷の魔石を取り出し、カマさんに一方的かつ強引な約束をし、手渡す。
そして
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