第62話 リッチのお留守番

「店長、先輩のウルさんがワフウの国に出掛けている間、ベーカリー・コムギの代表として僕が頑張らなくちゃ……」


 僕はリス人のリッチ。

ベーカリー・コムギの従業員です。

仕事をクビになって、街でたまたま出会ったコムギさんとパンに魅力されて働くことになりました。


 僕には3つ夢があります。

1つ目はコムギさんみたいな《パン職人》になること。人のために魔法を使えて、美味しいパンを作れるようになりたいんです。


2つ目は家族に再会すること。

昔離れ離れになっちゃったけど、きっと再会出来ると信じてる。


3つ目は人、スラムの人達に笑顔になって欲しいこと。僕はコムギさんのパンで、そしてパンの仕事をさせてもらって笑顔になれました。店長はそれが『パンの魔法』だって言っていました。だから今度は僕が誰かを笑顔にしたいんです。


 でも、どの夢も果たすにはまだまだ実力不足。これからもっともっと頑張ります!



 ちなみに僕は店長たちがいない間、ショーニ商会でお手伝いをすることになってます。

毎日カレンさんやシオンさんのお手伝いをしていますけど、忙しくて目が回ります!

たくさんの依頼や書類の整理だけでも大変!これを黙々とこなす2人はすごいや‼


◇◇◇


「はあー、やっと一段落ですよっ」


「ほら、カレン。リッチくんがまだ頑張ってるのよ、変なとこ見せないの」


「大丈夫ですよ、今日は最近で一番忙しかったですもんね。あと少しで区切れますから気にしないでくださいねぇ」


「「リッチ君は偉いなぁ……」」


 リッチのパタパタしながらも頑張る姿に、商会の職員たちは癒されつつも、やる気を上げていた。それは間接的にではあるが、商会の売上と評判の向上に一役買い、人を笑顔にしたいというリッチの願いの成就に繋がっていたのだが、当のリッチは気付いていない。


彼は尊敬する上司、コムギの言葉を胸に今日も頑張る。

『小さな成功の積み重ねが大きな成功に繋がる』と信じて。


だから彼の夢はいつかは叶うだろう。

夢のために、今日もリッチは頑張ります!

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