第47話 大問題!!
『満月メロンパン』と『三日月クロワッサン』の登場以来、ショーニ商会の評判はうなぎ登りになっていた。元々やり手の商会と噂されていたが、一般大衆向けにパンが認知されたことにより、顧客層の裾野が広がり売上・客数共に順調に増えていたのだ。
そして商会の軒先を借りている、オレたちベーカリー・コムギの3人もフル稼働で働き、日々充実感に溢れていた。
ウル、リッチもすっかり仕事に慣れ、今では店頭販売は2人に任せておけば問題ないくらいにまで成長した。
そして休憩がてら、いつもの応接室。
オレとショーニさんは向かい合い、軽めの食事をしていた。
「いやあ、本っ当にコムギ様には足を向けて眠れませんよ!」
「オレの方こそショーニさんがいなければこんなに上手くいかなかったですよ」
「しかし、ここに来て問題が浮上しておりまして…」
「聞くのが恐いですが、、どうかしたんですか?」
「小麦がなくなりそうです」
「大問題じゃないですかあああああっ!!??」
「未曾有のパンブームと小麦の不作の影響もあって、あちこちの店や商会で使いすぎた結果、供給量を大幅に越えてしまっているようなんですよ。なんとか集めようとしてはいるんですがこのままでは国全体の小麦がなくなります…。
まさか国としても主食の小麦が無くなるほどとは思いもせず……」
「なんとかならないんですか?!」
「方々尽くしていますが、中々、、 」
「そんな…」
小麦がなくなる、そんな事は予想外だった。
市場から安定供給されるものだとばかり思っていた。ショーニさんの言うことが事実ならこのままではパンが作れなくなってしまう。
緊急事態だ、なんとかしなければ…!
しかし、動物とは違って小麦は植物。
生育には時間が掛かり、捕獲すればなんとかなるとかそうゆうわけではない。
「本当になんとかなりませんかね??」
「こればかりはなんとも…」
「「うーん……」」
二人でこの深刻な問題を打破できないか考える。
まずいぞ、これは本当にまずい、一番大事な原料がないなんて。
小麦に代わるものなんて中々ないよな、、。
ん?代わるもの?
…待てよ。
オレは小麦の代替品に心当たりがあった。
しかしこの世界ではまだ見たことがない、確認しなければ。
「すみません、ショーニさん。
心当たりはあるんですが、○○ってありますかね?」
「そ、それは!どうしてそれを!?
いや、あるにはありますが…その……」
あるにはあるらしいが、どうにも歯切れが悪い。また難儀するのかな…。
「また危険な場所ですね?もう馴れましたよ」
「いえ、今度の相手は魔物よりはるかに手強いのです。コムギさんといえど無理かと…」
「え?
魔物じゃないなら、相手は一体なんなんですか??」
ゴクリ…
ショーニさんが神妙な面持ちで、言うか言うまいか躊躇っている。
なんだろう、不安すぎる……。
オレの不安を踏まえた上で、ゆっくりとしかし大事を噛み締めながら口にした相手、それは。
「国です」
「はあああああ!!?!!!?」
予想外すぎる相手だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます