50. カタキ
「フッフッフッ、この
「お前は今俺の仲間だろ、攻撃してどうする」
「消耗している、時に、あの一撃、流石に効きますね」
「どうだー、畄萎は強いだろー、可愛いだろー。そしてトドメダー、星の力
「ぎゃあーー」「俺は仲間だってーー」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「本気を出す前に死んでね。ジェミニ
闇で闇と、とある空間とを繋げて腕を突き刺す。
そして、
「今、自分の手にあるのが星熊童子、君の心臓」
「や、やめろ。あの時、あの時に殺せていれば」
ん?
何か面白そうな事をいいそうだな。
「それはいつの事だ? の前に、ジェミニ 神経共有」
「あの時、あの雨が降った日、お前の家を鬼の手下たちに襲わせたんだ。酒呑童子さまは夜叉丸にこだわり過ぎてた。だから」
「あの時、ね。ジェミニ 断罪断絶」
一思いに黒刀を一振り。
それだけで空間が歪み、星熊童子に亀裂が入る。
さらに、神経共有の効果で痛みを倍増させる。
「ぐぁぁぁぁぁ」
これで星熊童子は絶命した。
倒した、舐められたから本気を出す前に殺っちゃった。
「こんな形で復讐を完了するなんて」
一筋の涙がこぼれ落ちる。
自分はこれでよかったのだろうか、
「忌助、くん?」
もっともっと賢く、いい生き方があったんじゃないか。
「忌助くん、どうしたの? 忌助くん」
でも、どれもこれも、星熊童子が殺しに来たのだって酒呑童子のせいだ。
そうだ、だからまだ復讐は終わってないんだ。
それに酒呑童子を倒せば夜叉丸の為にもなって一石二鳥だ。
いや、人間を救う事もできるんだから一石三鳥だ。
「って....鈴?」
頬に柔らかな感触が....。
――――――――――――――――――――――――――――――
※ ~
「ふぅー、やっと終わったー」
負傷者を、特に重傷な人の治療を全て終わらせる事が出来た。
よし、お父さんに報告しに行こう。
お父さんの部屋に向かって進んでいくと、
「お父さん、仕事終わったよー」
「おぉ、鈴か。ちょうど良かった。今忌助くんが鬼の所に行ったんだ、だから今からその応援に行ってきてくれ」
「うん、わかった」
忌助くんが相手をしている鬼か。
強いかな、強いだろうな。
私なんかでも大丈夫かな?
でも回復だったらできるからどうにかなるかな?
そんな事を考えて進むと、忌助くんの姿が見えて....?
「忌助、くん?」
忌助くんは涙を流していて、心ここにあらずって感じだ。
しかも泣いてるしどうしたんだろう。
「忌助くん、どうしたの? 忌助くん」
泣いているから頭を撫でて呼びかけるがなかなか返事をしてくれない。
本当に大丈夫だろうか....。
たしか、お父さんがこうやって落ち込んでた時、お母さんどうしてたっけ?
んー、んー、んー?
思い出した、けどこれはなぁー。
でも気がついてないし、忌助くんだからいっか....
x
「って....鈴?」
――――――――――――――――――――――――――――――
※ ~
「あの、これは、違くて、その」
まだ頬にその感触が残っている。
えっと....ダメだ、思い出しただけでも照れる。
否、それ以上だ。
「応援に来たぞ、ってもう終わってるんだな?」
「二人で顔を真っ赤にして何があったスか?」
そして、朱音とながつきは二人顔を見合わせてコクリと頷いて何かを約束している。
「よし、鈴。玖郎先生が呼んでたから行くぞー」
「忌助くん、ちょっとお話があるっス」
鈴はながつきに連れられて、自分は朱音に連れられて別々に別れていく。
「そ、れ、で、忌助くんは何があったスか?」
「う、うん。兄の、風馬の仇を討つことができた」
「それが今回の鬼だったスね」
「そう」
「それから何があったスか?」
朱音はニマニマと黒い笑みを浮かべて聞いてくる。
「その後は....」
「その後は?」
「....」
「なんスか、早く言うっス」
「「ッ」」
自分と朱音は変な霊力に反応して、そちらを見る。
すると、
「まだだ、まだ終わらんし終わらせん。酒呑童子さまの為にも夜叉丸を生きたまま連れて帰る」
「まだ生きて....いる、のか?」
それはどう見ても歪な存在。
肉は所々溶けてなくなり骨が見えている。
さらに、星熊童子は心臓で動いているのではなく、憎悪によるものなのか霊力を体に纏い立っている状態だ。
茨木童子と同等かそれ以上の霊力を秘めている。
「朱音、ここは自分がやるから結界の維持とか支援に回って」
「了解っス」
朱音は急いで学校の方に戻っていく。
さて、自分はコイツをどう殺してやろうか。
「こい、夜叉丸。
「
また、諸刃の剣のようだが、刀身がしっかりしていないのかぐにゃぐにゃと曲がった剣で、見ていて気持ち悪くなる効果もあるっぽい。
それにあんなのに刺されたら肉や臓器が一気に抉られるだろう。
「ジェミニ 終幕」
「
闇と相手の首もとを繋げて黒刀で斬り裂く。
が、その時には星熊童子はいなくなっていて、
「後ろ‼」
後ろに気配が感じたから、黒刀を振り抜くが、黒刀は空を歪めるだけだった。
否、その歪めた空間のおかげなのか、いつの間にか後ろにいた星熊童子の攻撃を、突きを頬を掠めるだけで終わった。
そして....イラッときた。
斬られた頬は鈴にキスされた場所だったのだ。
嬉しかった、恥ずかしかった、でも嬉しかった。
「それにお前は風馬を殺したんだ。それはそれは残酷な方法で殺してあげないとね」
「連れて、帰る....いや、殺してコロス。ころして殺してころす。殺してころしてコロシテころしてコロシテ殺して殺して....死ね」
「お前が、な‼」
星熊童子は一歩の踏み込みで目の前まで迫っていたがなんなく剣を打ち合わせる。
つばぜり合い、そんな状態だ。
足で蹴ろうとかはお互いにしない、否、できないんだ。
絶妙に体重をのせて合わせてるから、力を少しでも抜けば斬られてしまう。
だからってこれが何時間も続くわけではないし、続かせない。
「今、だ‼」
黒刀が星熊童子の武器を蝕み続けていたから、その亀裂、小さな小さな亀裂目掛けて力一杯に押し込み、叩き斬る。
「ジェミニ 無限牢獄」
闇を一気に開放して、星熊童子を包み込んでいく。
いや、そんな生易しい物じゃない。
闇が星熊童子を捕らえ拘束していく。
そして、
「お前は一生ここにいることになる。お前の大好きな大好きな酒呑童子に会えず、お前よりも先に死んでいく。お前はここに精神と肉体が固定されたまま永遠の地獄に、自分の嫌なセカイに囚われるんだ」
これは、無限牢獄は相手の精神と肉体を固定し、永遠の悪夢を見せ続ける技だ。
自分が嫌だ、と思った方向に物語は進んでいきそして、絶望して自殺しても、誰かに惨殺されても、寿命で死んでもまた振り出しに戻る。
それが永遠に繰り返される。
もちろん記憶はそのまま受け継がれるから、心が壊れたら最後、ではない。
心が壊れてない最初の時に戻り、それを映像として見せられる。
それが永遠に永遠に永遠に続く。
「風馬、これでよかったのかな?」
その声に反応するかのように、無くなっていたあの、風馬の形見の宝石が懐から飛び出し砕け散った。
『ふんっ、そういうことかよ』
「どういうこと?」
『わかってないようだな、まずは安全な場所に行ってから鬼の部屋にこい』
「う、うん。わかった」
なんであの宝石は砕けたんだろう。
それに夜叉丸のわかってないってなにがだ?
心辺りが無さすぎて逆に怖い。
もしかして、とうとう夜叉丸が自分の体を乗っ取ろうと....いや、流石にそれはないな。
まずは学校に戻ろう。
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