47. カクセイ
「真昼はどこだ‼ どこに行ったー‼」
「落ち着いてください、白夜さま。真昼さまは逃げたようにございます」
「どこに逃げたかわかるか?」
「はい。おそらくですが....」
「そうか、そこか。よし、鬼の力を頂いたのだから攻め込もうではないか」
「白夜さま、まだ半数程度しか鬼の子化に成功していません」
「それがどうした。今夜だ、今夜に攻め込むから準備を開始しろ」
「はは、仰せのままに....」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ここは、
「やぁ」
「どうして自分はここに?」
「うん、それはね、僕の本当の力が覚醒したから」
「本当の力? って夜叉丸の本当の鬼能って事?」
「そう、正解。そういうことだよ」
だから変な力が流れ込んできていたのか。
少し納得できた。
それで、夜叉丸の鬼能ってどんなのだろうか。
想像もつかないな。
「夜叉丸の鬼能は?」
「その前にこれだけ。今までの鬼能は全て消えたから」
「て、事は[複製]も?」
「もちろん。それじゃあ言うね」
「....」
「僕の鬼能は[
べるぜびゅーと?
意味がわからない。
が、いかにも鬼の王として強そうな能力で夜叉丸にあっている感じがする。
「それじゃあ、そろそろ意識が回復する頃かな?」
その声に誘われるようにして、意識が鬼の部屋から現実へと引き戻されていく。
※
「戻って来たー」
「忌助くん」
目が覚めると....自分に抱きついてきてる鈴が....?
「死んじゃったかと思ったよ。回復霊術かけても起きないし」
「ごめん、鈴。....苦しい」
どうにかそれだけを伝えて解放してもらった。
流石に認めよう。
自分な鈴が好きだ。
そんな好きな人にこんな事をされたら精神的に耐えられない。
「あれ? 忌助くんなんか顔が赤いけどまだ治ってないところあるの?」
「いやー、これはなんと言いますか。とりあえず大丈夫だから」
自分は捲し立てるように言って、早々に結界の中に逃げ込む。
流石にこれ以上はもたない。
耐えられずに気絶とか情けないから絶対にしたくないしね。
どれもこれも、自分が女の子に耐性がないのは修行してたからだ。
そう、師匠との修行でこんな....事に。
「うん、師匠を殺した茨木童子を殺しに行こう」
『本気で....言ってるんだね』
もちろん本気だ。
『でもどこにいるかもわからないのに?』
そうだった....。
茨木童子の場所がわからないんじゃ殺そうにもできない。
それに新しい鬼能の[
「おっ、忌助。こんなところにいたのか」
「な、ながつきか。どうしたんだ?」
「いや、な。鈴が探してたから。体調が悪いみたいなのにどっかに行っちゃったって」
「あー、それは。別に体調が悪いわけじゃあないんだよ?」
「ならどうしたんだ? なんか様子がおかしいけど」
「あははー。そうかなー?」
様子がおかしいことは認めよう。
なんて言ったって恥ずかしいからこうなったんだ。
意識しだしたらこうなったんだ。
「なんか鈴とあったのか? またはやっと自分の気持ちに気がついたのか?」
「ギクッ」
「おいおい。流石に驚きを声に出すやつは始めてみたよ。そういうことなんだな」
「はい、そういうことなんです」
ながつきはそれを聞いて満足だったのか行ってしまった。
さて、ここに何時までもいるわけにはいかない。
だから今後の方針を考えなくては。
「よし、皆の所に行こう」
皆で相談しながら決めるのが一番いいだろう。
と、言うわけで、
「今から今後の方針を決めたいと思う。何か案のある人は?」
「はいっス」
「はい、朱音」
「鬼を根絶やしにするっス」
「うん、それは考えた。けど、鬼にもいいやつはいる。だから簡単には根絶やしにできないんだ」
「じゃあ一番悪い鬼を倒す?」
「うん、鈴の案が、それがいいだろうけど、戦力が足りなさすぎてね」
そう、一番の問題はそこなのだ。
戦力差があるだろうから攻めようにも攻められないのが現状だ。
それに、
「仲間を集めようにも信頼できる人がいないから」
「それなら俺たちがって言っても、俺と朱音が星の力? を手に入れるのはどうなんだ?」
「それだ‼」
そうだ、なんで思い付かなかったんだろう。
ながつきと朱音が星の力を手に入れてくれたら戦力は格段に上がる。
でも、それは決定打にはかける。
なにかあと一手、その小さくて大きな一手が必要だ。
「ながつきと朱音は鬼にどこに行けばいいか聞いてみて?」
「あちゃー。俺は京にある伏見山だって」
「私は富士の山みたいっス」
「ながつきは場所的に最悪だから最後だな。なら朱音の方から行くとするか」
富士の山、ここから身体強化霊術をつかって二時間もかからないだろう。
それに行くなら早い方がいいだろうから、すぐに出るべきか。
「と、言うことで今から出発といこうか」
「忌助は場所とかわかっているのか?」
「なんとなく....。でもでもここからでも見ようと思えば富士は見れるから大丈夫でしょ?」
「それもそうだな」
そう、ここからでも見ようと思えば見れてしまうのだ。
それほど富士の山は大きく美しい。
「じゃあとりあえず玖郎さんに伝えてくるね」
「私もいく」
鈴と一緒に玖郎さんが使ってる部屋に向かう。
トントン、と扉を叩いてから中に入ると、
「どうしたんだい? 鈴と忌助くん」
「今から富士の山に行こうと思っていて」
「なんだ、そっちの報告ね」
「?」
「気を付けて行くんだよ」
「一ついいですか?」
玖郎さんは無言で頷く。
「なぜ
「あぁ、真昼くんは敵じゃ無さそうだし、私一人が権力を持つのも良くない。だから、真昼くん
「それならもう一人くらいいるんですよね?」
「もちろん。忌助くんの親友と忌助くんがとてもとてもよく知っている人だよ。まぁその人には今から言うんだけどね」
自分の親友、か。
当てはまるとしたらながつきくらいだろう。
ながつきなら当主でもあるし、仕事だってなんなくできるだろう。
あと一人の自分の凄いよく知る人って誰の事だ?
「わからないのかい? 忌助くんにも頼みたいんだよ。鬼の子としての才能が高い君に」
「えっ、自分ですか? でもながつきみたいに知識が豊富な訳ではないのに?」
「主に君には戦闘面でお願いするから」
なるほど、それなら....とはならない。
自分よりも、絶対に
けど、いないからしょうがないのか。
「わかりました。でも琥珀くんに会ったら連れてきて交代してもらいます」
「交代するかはこの際置いといて、琥珀くんが来てくれるのはありがたいね」
「いや、それは置いとかないでください」
「はやく行かなくてもいいのかい?」
「あっ、失礼しました」
鈴と一緒に急いででて、二人の所に急ぐ。
「お待たせ」
「お疲れさま」
ながつきは肩を叩いて労ってきた。
....もしかして、
「知ってたな?」
「なんの事っスか?」
「さぁ。どうしたんだろうな、忌助」
うん、この感じはわかっていたな。
「なーがーつ――――」
「――――行くんだろ?」
「いや、行くけど」
「なら行こう‼ 出発進行‼」
ながつきは先頭に立ち、身体強化霊術を使って進んでいく。
その後ろを朱音、鈴と続いていき、出遅れた自分は後ろからついていく。
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