28. ニトウリュウ
「その情報は本当なの?」
「はい、神楽の子が星の力、それも十二星座の力を手に入れました」
「そっか、これで遊戯も楽しめそうだ。こっちはどんな感じ?」
「はい、こちらは、
「そうか、あと二、三体は集めておけ。その方が盛り上がる」
「承知いたしました、酒呑童子さま」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「
その言葉で力が溢れて、両手に刀がおさまる。
この力を使うと二刀流になるということだ。
そしてここは、
『久しぶりだね』
あぁ、久しぶりに来た。
『君は星の声が聞こえるようになるから』
星の声ってなんのことだ?
『その時に合った動きと技を使える』
なるほど、
『それと....』
※
あれ?
自分は何を?
空は明るく晴れている。
ここで寝てしまったのか。
『忌助、早く学校に行くべきじゃないか?』
そうだった‼
身体強化霊術を使い家に帰る。
否、学校に行く。
※
学校につくと、第二試練の最初の班のちょうど盛り上がり時だった。
やっと悪霊を、「七股の大蛇」を追い詰めることができて、王手をかけていた。
「遅いな、忌助。遅刻はよくないぞ」
「悪い悪い、ちょっとね」
流石に滅茶苦茶遠い所に行ってたなんて言えない。
「今ってどんな感じ?」
「六.七時間ずっとコソコソ攻撃してたけどやっと準備が終わったみたい、っていうか罠にかけれたって感じ」
「第二試練、第一班目終わり」
一班目が終わりすぐに入れ換える。
「次、第二試練、第二班、開始する」
二班目の悪霊は化けブチ猫だった。
普通の化け猫より、一回りも二回りも大きい。
そのブチ猫に特攻してあっさりと勝ってしまった。
平均点にこの班は強いし連携が良くできていた。
そして帰ろうとしたら、
「愛六忌助、《決闘》を申し込む‼」
なぜか《決闘》を申し込まれた。
「なんで自分?」
「順位が一位だと聞いたからだ」
「《決闘》なのか、はぁ。今から愛六忌助 対
「こい、夜叉丸」
「一瞬で終わらせる‼ 五大霊術
呪札を器用に使い、五つの霊術を合わせて来た。
技の発動の速さも申し分ない。
だが、
「
片方の刀を相手の技の影響外の所に投げ刺す。
ドゴォォン。
と音をたてて自分の体は揺らいで消えた。
「凄い、凄い技だ‼」
つい興奮してしまった。
が、今の言葉を勘違いされてしまった。
野次馬たちと幸伸は煽りと受け取ったみたいだ。
「なっ‼ 今のが効かない上に煽るだと‼ 舐めやがって」
「えっと、舐めたつもりはないけど?」
「黙れ、問答無用‼」
懐から一枚の呪札を取り出した。
読み取れただけでも召喚系の霊術が発動する。
「星の力
霊力を矢の形に具現化して呪札を撃ち抜く。
「なっ‼」
それを見て驚愕の声を漏らしたのは幸伸ではなく、たまたま見に来ていただろう校長だった。
「....棄権する」
「勝者、愛六忌助」
幸伸はそれで心が折れたのか逃げていった。
「校長先生」
呼びかけたけど無視されて、行ってしまった。
校長先生は何者なんだ?
「忌助、新しい武器か?」
「これは違くないけど違うかな?」
「なんで疑問系?」
「いや、上手く説明できないから。それよりも校長って何者なんだ?」
「校長先生か? 校長は一ノ瀬家の分家の者だぞ。それ以外は特に知らないな。どうしてだ?」
「あの呪札あっただろ? あれは召喚系の霊力だった。その呪札を壊した時に舌打ちをしたんだ」
「そうなのか? こっちでも調べてみるよ」
ながつきにも協力を依頼して、久しぶりに山小屋に帰る。
遠くに行っていたせいで、とても久しぶりに感じてしまう。
そういえば二刀流になったから修行しないと鬼と戦えないかもしれないな。
誰か二刀流が使える人は?
明日ながつきに聞いてみよう。
※
次の日の朝、当校してすぐに《決闘》を挑まれてしまった。
もちろん勝ったけど、後から聞いた話、こちらの戦力を見るためにわざと《決闘》を挑んでいるらしい。
それを忌助が知るのは少し先であるが。
「忌助、今日も朝から《決闘》か。楽しそうだな」
「ぜんぜん楽しくないよ。相手はそれほど強いとは言えないし。そうだ‼」
「言わなくていい。何となくわかっちゃったから....」
第二試練、第四班の悪霊討伐が行われている中、ながつきを見つけたから話しかけようとしたら、逆に話しかけられた。
そしてながつきに《決闘》を申し込んでもらおうと思ったのに。
「ながつきの知り合いに二刀流を使える人っていないか?」
「二刀流かぁ。二刀流にも色々とあるだろ? 短刀で二刀流なのか、
「普通に刀で二刀流だ。逆手では持ちにくいからね」
「なるほど、逆手だったらいたんだけどね」
「それは残念」
流石にそう簡単には見つかる訳ないよね。
「忌助くん、二刀流使い探してるの?」
「そうなんだよー、
空が話に入ってきて聞いてきた。
この感じ、
「二刀流使いなら知ってるよ。僕のお父さんが二刀流を使えるよ」
「おぉ‼ なら明日にでも空の家に行ってもいいか? 二刀流を教えてもらいたいんだ」
「わかった、お父さんに伝えとくね」
「ありがとー、空に感謝だわ」
「大袈裟だよ」
空は大袈裟なんて言ったけど、自分の二刀流技術は酷すぎるんだ。
今までは刀を両手で持っていたのも原因の一つだろう。
「そこまで、第二試練、第四班、負け。回収を急げ」
そんな話をしていたら、今日の試合はすべて(二試合)終了しまった。
なんでも悪霊に、九尾の
自分たちの番になるまでに、二刀流をある程度形にしとかないと、実戦で使えないのは困る。
って言っても、星の力を使うほどじゃないだろうけど。
※
そんなこんなで、今日は空の家に、
さて、どうしたものか。
ドンッ。
「なに突っ立ってんだよ‼」
鏡谷武具店を覗いてたら、何度か見掛けた人にぶつかり、お金が盗まれた。
「「あっ、お前‼」」
そして相手も自分に気がつき、二人の声が重なる。
「返してもらおうか?」
「な、何をだよ‼」
まさか、この場にきてしらを切るとは思ってなかったので呆気にとられてしまった。
その隙に相手は逃亡を図る。
「あっ、逃がすか」
前よりも逃げる速さが上がっていてなかなか追いつかない。
否、相手は身体強化霊術を使っているようだ。
なら手加減はしない‼
「待て‼」
殺気を込めて相手を睨み付けると、その声に相手は反応して動きを止めた。
そして自分はあることに気がついた。
それは、他の人に殺気を感じさせなくなったということだ。
これは自分の成長だな。
『いや、星の力を手に入れたからだよ』
いや、わかってるよ。
もちろん知ってたし。
『本当に? なら今の状態は?』
夜叉丸に言われて周りを見るが、首が一切動かない。
そして周りの人たちはとてもゆっくり動いている。
『これも星の力で知覚を引き延ばしてくれてるんだよ』
なにその能力‼
なら琥珀くんとかが強いのもそれが理由?
『あらかたそうだろうね。後はあの子が鬼に愛されてるっていうのもあるけど』
鬼に愛されてる?
『そう、鬼に愛されてる。白髪で透き通るような肌。そして鬼との同化率が非常に高い。十中八九あの子は
そうなんだ。
『まぁあの子は知らないよ。
なんで教えないの?
『そりゃ、自分が鬼に愛されてるとか知りたくないじゃん』
そうだね。
自分も鬼には愛されたくないや。
でもなんでそんな事がわかるんだ?
『わからないけど、思い出したって感じ。まだ何か大切な事を忘れてる気がするけど思い出せないんだ』
ふーーん、そういう物なのか。
「それで窃盗犯さん。止まってくれてありがとう」
動かない窃盗犯からお金を取り返す。
「さて、このまま警備につき出すか、自分に殺されるかどっちがいい?」
殺気を緩めてから質問する。
「い、いい、命だけは」
「わかった、警備につき出すだけにするよ」
そのまま警備の人が近くにいたので身柄を引き渡し、後日事情を聞く事になった。
ちょうどその頃には鏡谷武具店が空いてきたので挨拶しにいく。
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