22. トクシュレイジュツ
アイツが俺よりも順位が上だと。
そんな事は許せない。
許せるわけない。
一ノ瀬家の者として負けるわけにはいかないんだ。
この最近手に入れた力があれば大丈夫だろう。
「クックックックッ」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「それでは
美琴は最初から煙玉を地面に落とした。
それがどういう効果を持つのかわからない以上迂闊な行動はできない。
「こい、夜叉丸。美琴、お前の能力ってなんなんだ?」
身体強化霊術を使って突っ込んでくる美琴に話しかけるが無視される。
そのまま何発か殴ってくるが、あえてギリギリで避ける。
「あなたは私が見えてるの⁉」
えっと、見えてるもなにも意味がわからん。
これが見えないというのか?
こんなまあまあ速いくらいの攻撃なら全然見える。
でもこの感じは、そういうことを言っている訳ではなさそうだ。
「見えてるってどういう事だ? そんな遅い攻撃なら見切ってるけどそういうことじゃないんだろ?」
「なっ‼」
美琴の攻撃は驚愕により止まった。
が、またいつ攻撃を仕掛けてくるかわからない。
なら降参させるだけだ。
「まさか、この〔幻影術〕を見破れたとでもいうの? でも一ノ瀬家でも見破れないというのに? あんな忌み子なんかに見破られるなんてありえない。そうだ、そうだよ。ここで相手の息の根を止めて〔幻影術〕でうまくやればバレない‼ そうだ、それでいこう」
美琴が小声で言っているが全部聞こえちゃってるんだよな。
しかも物騒な事を考えているし。
でもそういうことか。
この煙で幻影を見せていたということか。
それで身体強化霊術とかで攻撃すると真空波を使っているように見える訳か。
「なんとも卑怯な特殊霊術だな」
「お前には死んでもらう‼」
「女子なんだからもう少し言葉遣いには気を付けた方がいいんじゃない?」
「〔幻影術〕で外の人には聞こえないから問題ない。死ね、愛六忌助」
「紅蓮流剣術炎の型 昇炎華」
[赤い氷]を[青い炎]で一瞬にして気体化させる。
その時に体積が増えて爆風が起こるのを利用して煙を晴らしていく。
「美琴、これでお前の〔幻影術〕は解けただろ?」
「なっ‼」
「美琴さまが瞬間移動‼」
「あの忌み子が言ってた〔幻影術〕ってなんなんだ?」
「八重家の特殊霊術は真空波じゃないのか?」
周りの生徒は口々に驚きの声をあげていく。
今まで信じていた能力が偽物だってわかったからそりゃそうか。
でもなんで自分は〔幻影術〕が効かなかったんだろう?
「きさま、きさま、きさま‼」
「紅蓮流剣術氷の型 氷極」
刀を地面に突き刺し、美琴を氷の彫刻にかえる。
「先生、これ以上は必要ありませんよね?」
「えっ、あ、あぁ。勝者、あいろく忌助‼」
ふぅー、これで一件落着か?
いや、そんな事はない。
ほら、変な霊力が感じるよ。
変な霊力、鬼の霊力の方を見るとそこには一ノ瀬暮夜がこちらを睨んでいる。
なんで暮夜から鬼の霊力が感じるんだ?
「お疲れ、忌助」
「おっと‼ ながつきか。まぁ自分に話しかけてくるのはながつきくらいだけど」
「忌助の言ってた八重家の霊術は本当だったな」
「だろ? そうだ、十の名家の特殊霊術を教えてくれ」
「いいぞ。
こんな感じで説明は大丈夫か?」
「あぁ、勉強になったよ」
そういえば暮夜の姿がみえなくなった。
どこに行ったんだろう?
はやく玖郎さんに伝えないと。
「おい、あいろく忌助。はやく美琴さまの氷を解かないか」
えーー、なんで美琴にはさま付けで自分にさま付けしないんだ?
一応自分も十の名家なのに。
「申し訳ありません、先生」
そして一応謝ってから氷を解く。
「あれ、私は。そうだ、きさま‼」
あれ?
まだ懲りてないのか。
今まで凍らされてた事に気がついていないのか?
「これ以上やるなら殺すよ‼」
最近覚えた技、視線に霊力を込めて睨む。
これで殺気と霊力的硬直が相手を襲うはずだ。
現に美琴は動くことができずにいる。
そして、股の部分が少し、いや結構濡れてきた。
やり過ぎちゃったかな?
うん、やり過ぎちゃったね。
「あっ、ごめん」
申し訳なく思い咄嗟に謝ってしまった。
「ぅぅぅ、うわぁぁぁぁぁん」
美琴は校門から走り去っていった。
そして数人の、ほんの数人の生徒が美琴の残した物を見て危ない目をしている。
「あの生徒今凄かった」
「十の名家の美琴さまに恥をかかせたぞ」
「あの土を後で持って帰ろう」
「あの子終わったな」
周りの野次馬(生徒)が口々に言い合ってる。
若干名危ない人がいるのが凄い気になる。
「ながつき、どうしよう?」
「い、いや、俺に聞くなよ?」
「そうだよな。しかも十の名家に恥をかかせたらどうなるんだ?」
「それは色々だよ。許してくれる所もあるし、見せしめをする所もある。でもお前も十の名家の1つだから大丈夫じゃないのか?」
「「「えっ⁉」」」
先生も含めて周りの生徒は驚きの声をハモらせる。
いや、散々愛六、愛六言ってたからわかるだろ。
それに先生はわからないとダメだろ。
「いや、そんなわけないだろ」
「そうだよな。たまたま美琴さまに勝ったってだけだろ」
「でも隣にいるのは九家の者じゃないのか?」
なんかめんどくさくなりそうだ。
それに鬼の事も玖郎さんに伝えたいからお
「ながつき、玖郎さんに用があるからじゃあな」
「ここに置いていくな‼」
ながつきの言葉を無視して身体強化霊術で校舎にひとっ飛びする。
「ながつき、許せ」
流石に自分はこれ以上あそこにいることはできない。
でもあそこに置いてきたのは悪かったかもな。
「許さないって言ったらどうする?」
「そりゃぁ、ながつきが好きそうな物を用意して許してもらうとか色々....だ....よ?」
後ろにはながつきがついてきていた。
「なんでついてこれる‼ 今の身体強化霊術の発動の速さは追い付けないはずだよ」
「まぁ普通にやったら今のは追い付けないな。でも俺には呪札があるから。霊力を流すだけですぐに発動できるのさ‼」
呪札は思いの外結構使い勝手が良さそうだ。
こんどながつきに手伝ってもらって役に立つ呪札を集めるか。
「それで玖郎先生になんの用なんだ?」
「それは玖郎さんの所で話すよ」
校舎に入って職員室にはや歩きで向かう。
基本的に校舎内では走ってはいけない。
走ったら減点をくらうらしい。
他の生徒が話しているのを聞いた。
これは決して友達がいないとかそういうのではない。
友達は一応いる。
うん、一応....。
そうこうしている内に職員室についた。
扉を数回叩き開ける。
「失礼します。玖郎さ....先生はいますでしょうか?」
「どうしたの、忌助くん?」
「お話が、ここではアレなので」
「わかった。ついてきて」
そして空き教室に連れられた。
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