第3話「君は何者?」
なぜ僕の名前をこの少女は口にしたのか?そもそもなぜ僕の名前を知っているのかわからなかった。
「僕のことを知っているの?」
「う~ん、知っているっていうのはちょっと違うかな?」
「ちょっと違う……?」
「うん。正確には私のことを目覚めさせれることはノエルともう1人だけ。でもちゃんとした手順でできるのはノエルだけだからすぐ目が覚めたとき目の前にいる人を見てすぐノエルってわかったよ」
「僕だけ…?何で僕だけがちゃんとした手順で……?君を目覚めさせれるの…?」
「んーまぁ詳しいことはよくわからないけどまぁ細かいこと気にするとハゲちゃうよ~ノエル~あっ自己紹介忘れちゃったね!私アイリよろしくね、ノエル!」
「あっう、うん…よろしく…」
なんかかなり自分の身に危険が及んでいる状態ということをこの子としゃべっているとつい忘れそうだ。
「ねぇねぇそれより外に出してよ。てか出る!」
カプセルからひょいと身軽に出ると階段を駆け上がろうとした
「あっ!ちょっと待って。今は武器持った変な奴らが外にうろついているから危険だよ!」
「だいじょうぶ!だいじょうぶ!そんなの私がぶっ飛ばしちゃうから!」
「いや、ぶっ飛ばしちゃうからって…」
彼女は僕の警告を全く聞く耳を持たずにカプセルから出て階段を上がろうとした。
「ほんとに危ないよ!銃とか持ってたんだよ?」
「ふぅん・・・まぁ銃ぐらいなら全然問題ないよ。ノエル一緒に行こ行こ」
「いや・・・行こ行こって、あっちょっと待って!」
彼女はそのまま足軽に駆け上がり出口の方へ向かっていった。
「ちょっ・・・ちょっと!てか足はやっ!」
僕も足が遅いほうではないと思うが、彼女は並みのアスリ-ト選手の比ではないほどの足の速さで駆け上がっていった。
そしてそのまま重い扉ドーンと両手で勢いよく開けて外に出て行った。
「おはよーございまーす!…てアレ?夜じゃん。もうノエル今は夜なら夜だよって言ってよ」
「もう…いや…ていうかそんな暇なかったし…てか君足速すぎなんだけど」
「あっごめんごめん、外に出られるからちょっと興奮しちゃって。あっ!それよりさノエルちょっとこのあたりの周辺を散歩ついでに案内してよ。いいでしょ?」
「えっ…いやあのでも…」
「動くな!そこの2人!」
「えっ!」
武装した男達数人が僕たちを入口付近から囲うように包囲していた。するとその中の1人の男が無線機で誰かと通話していた。
「隊長、見つけました…例の…えぇどうやっても開かなかった入り口から稼動状態の・・・えぇ」
何やら僕たちのことを話しているようだ。
「ノエル何なの?この人達」
「…僕にもわからない、突然追われて…必死になって逃げてあそこに隠れていたんだ」
「ふぅ~ん、そっかノエルの言っていた危ないってこいつらのことだったんだ・・・」
「動くな!そこのお前、おとなしくそのヒューマノイドドールを渡してもらおうか・・・そうすれば命だけは保証してやる」
(この子がヒューマノイドドールということ知っている・・・!?何でだ?こいつらはこの子が目的でこの学園内にこんな武装をしてまで侵入してきたのか・・・?一体何で・・・・)
しかしとてもじゃないが命の保証をしてくれる状況と雰囲気とは思えなかった。
「大丈夫だよノエル、これぐらいの相手なら余裕で倒せちゃうから!」
「え…?」
「コードを使う必要もないかな?…ノエル一応危ないから下がってて!」
そうアイリが言うと一歩ずつ武装した彼らに近づいていった。
「う、動くな・・・!」
銃を構えた男がそう言葉を発した瞬間・・・男が手に持っていた銃が宙に吹き飛んでいた。
「なっ!」
「遅い、遅い!そんな武器で私に勝てると思った?」
そう彼女が相手の男に言葉を放った瞬間男の腹部に強烈なパンチを食らわせた。
「がはっ・・・!?」
肉眼ではとても追えないほどのスピードで接近し、その瞬間目には見えない拳を繰り出し銃を持った男がその場に倒れた。
まわりの男達がそれを見て急に震えだした。現状の戦力ではこの少女を取り押さえることはできないことを今の光景を見て察知したのだ。
「ま、まさか・・・殺したの・・・?」
「え…気絶しただけだよ?ノエルが殺せっていうなら殺しちゃうけど?どうする?」
「え…いや…」
「こ、こうなったら…兵器使用自由!なんとしてでもあれを取り押さえろ!行くぞ!」
「イエッサー!」
男達は命令と共に背中に背負っていたマシンガンをこちらに向けてきた
「ノエル!私の後ろに下がって!」
「えっ!」
「はやく!」
「う、うん!」
「撃てぇぇぇ!」
その声と共にマシンガンが一斉にこちらに発砲された
「うわぁぁぁ!」
「・・・・シールド展開!!!」
その言葉と共にノエルとアイリのまわりに青白いバリアのような幕が張られマシンガンの銃弾を全て弾き返した。
「え…?」
「これぐらいの銃弾なら全然余裕だよ!今のバリアで全然守れるから」
「す、すご・・・い」
「えっ!私すごい?えへへ…ノエルに褒められちゃった!」
「な・・・馬鹿・・・な」
相手の男達は驚嘆していた。あれだけの銃弾を受けながら全くの無傷なのだから。
「じゃ、次はこっちの番だよ」
アイリは目にも見えないスピードで男達に接近し、構えていたマシンガンの砲身を拳で握り折り曲げた。
「ひぃ!」
「どうする?まだやる?どう考えてもそっちに勝ち目はないと思うけど?」
相手の首根っこを掴み、アイリは冷たい目をして相手に言い放った。
「ぐががが・・・・」
相手の男は泡を吹いていた。
「ダメだ!それ以上やったらほんとに死んじゃうよ・・・!」
「ん…?やっぱ殺しちゃダメなの?でも生かしておくとまたこいつら危害を加えにくるかもしれないよ?」
「ダメだよ…!こんな場所で人を殺したら大騒ぎになっちゃうよ・・・!」
「そうなのー?うんまぁノエルがそう言うなら」
アイリは泡を吹いた男の首を離した。
「逃げるなら今のうちだよ?次もし攻撃してくるなら命の保証は出来ないかな?」
「ひっ・・・て、撤退だ!撤退!」
そう言うと他の武装した男達も同様に一斉に逃げ出して行った。
しばらく呆然としていた。あの危機的な状況を彼女1人の圧倒的な力で乗り越えてしまったことが信じられなかったからだ。
「君は何者?」
「ノエルと一緒にいるために作られた存在・・・。それが私アイリ、そしてそれが私が存在する理由だよ」
「僕と一緒にいるために作られた・・・」
僕ははアイリが言った理由がよくわからなかったが、自分がとんでもないことに巻き込まれてしまった予感だけは感じていた。
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