第8話 事実1/2
星空一行はアドリアンの部屋を後にして、艦長室へと向かった。
「隊長、何故俺たちが呼ばれたんですかね」
星空は自分の感じていた疑問をアドリアンにぶつけてみた。アドリアンは少し頭を傾げて考える素振りをみせた後、なにか思いついたかのように顔を上げ思いついたことを話し始めた。
「最近噂になってる捕虜にした敵のパイロットの件じゃないか?」
確かにそうだ。今まで何度も敵機体を鹵獲してはいたものの、1度もパイロットの拘束とまでは行ってはいなかった。それもそのはず敵のBBバトルボットの大半は基本AIにより戦闘が行われている様子で、コックピットはあるがパイロットが不在だったり、そもそもコックピットが存在しない機種まである。
「やっぱりアドリアンも同じ考えですか...」
県準ヒョジョンも同じ考えらしい、何かやけに嬉しそうにしていた。
「ですが、何故わざわざ俺たち4人なんですかね?」
「それはあれじゃないかな」
ジェイコブが会話に入ってくる。
「敵を捕虜に出来たということは、おそらく敵の実態がわかったってことだよ。それが生物なのか?それとも機械仕掛けのブリキ野郎なのか?そこまでは分からないけど」
彼の言うことも一理ある、敵を捕縛できたと言うなら敵がどんな存在であるかは確実にわかる。
なんだよなかなか頭いいじゃんと星空のジェイコブに対する評価が数段上がった。
「さあ、星空褒めてくれてもいいんだよこの名探偵ジェイコブ君を」
これの発言で星空のジェイコブに対する評価はまた地に落ちた。
「もしかしたら新型機についての説明だったりして」
と県準
そんなことをしているうちに星空達は艦長室に到着した。アドリアンがドアをノックをすると中から「はい」と声が聞こえた。
「第三十四技術試験隊所属アドリアン・チャイコフスキ中佐、第254空間戦闘機大隊所属 曹県準チェ・ヒョジョン中佐以下2名ただいま到着しました」
その後すぐに「どうぞ」と言う声が帰ってきた。
「失礼します」
アドリアンは返事を終え扉を開いた、中には艦長のエリカ・アイヒベルガー提督と、稜乃友悠かどのともひさ副長、それに加え大北ケルン参謀長が待っていた。
「時間どうりに到着しましたね。急に集まって貰ってごめんなさい。それじゃあ本題に移るわ」
エリカは少しの謝罪をした後すぐ本題へと移った。
「まず最初に、アドリアン隊長よくやってくれました。これほどの戦果を挙げてくれたのですから誇らしい限りです」
「いえ、我々は我々の責務を果たしただけです」
いつもとは違うキリッとした態度でエリカを含め友悠、ケルンも拍手を送っていた。
「あと、もうひとついいかしら。副長お願い」
この雰囲気かすると艦長達は既に知ってるらしい。その言葉を聞き友悠はタブレット端末をいじり、それをアドリアンに手渡した、それを見た時星空は正直自分の目を疑った。それは星空だけではなくアドリアンや県準、ジェイコブ達も同じようで数秒間動くことを忘れたかのように固まっていた。その端末に映っていたのは20歳ぐらいの1人の少年だった、どこからどう見ようが人間である、服装は見たことの無い宇宙服で、それが軍隊関連や組織で統一された服装であるようなデザインだった。
「艦長、これは酷いドッ...」
ジェイコブが『これはドッキリではないか』と聞こうとした時すぐに。
「俺みたいなアメリカ人でもこんなジョークは思いつかないな」
と、ケルン。当たり前だこんな時にドッキリなどやるわけが無い、と言うことは
「じゃあ、俺たちは今までこいつら...同類、いや同じ人間を殺してきてたのか...」
端末を持つアドリアンの手が少し震えていた。
「いや、もしかしたら外見が似ているだけかもしれないぞアドリアン」
現実か目をそらすためか県準がアドリアンの言葉を否定した、が
「いや、彼は私たちと同じ人間よ。ちゃんと染色体やDNAを調べたられっきとしたホモ・サピエンスだったわ」
エリカは包み隠さず真実を告げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます