第6話 つかの間の休息
-つかの間の休息-
案の定怒鳴られた、帰還して機体を工作艦明石に送ると「ここまでボロボロにしてよく送る気になったな」と薄気味悪い笑顔を向けながらバトエルデネ・ツェツェク班長はこっちを見ていたが星空はそっと目を逸らした。
「はぁ...」
疲れた、ただただ疲れた下手をすれば戦闘をするよりしんどいかもしれない、そう感じるほどあの班長は怖い正直に言うと苦手な分類だ。
そんなことを考えながら星空は食堂に向かった、食堂では帰還した第三十四技術試験隊の各々が隊長の奢りの酒で歓喜していた。
「おい星空お前は何にする?」
少しだが酒が入った隊長が顔を赤くして話しかけてくる。酒臭い...
「コーラで」
「あぁ?コーラだぁ?バカ言ってんじゃぁねぇよ」
これは少し入った感じでは無いらしい完全に出来上がっていた
「いや、自分が酒飲めないのわかってますよね」
「知ってる」
清々しいほどはっきりと真顔で言ってくる。
「じゃあ...」
『コーラで』と言いかけた時
「じゃあラムでいいな」
アドリアンはそんなことお構いなくアルコール度数の高いものを言う
「ちょっ、やめ、」
酒の入ったグラスをアドリアンは押し付ける。星空はこの時点で抵抗することを諦めた...
それと同時に『やっぱり戦闘より人付き合いの方が精神的にくる』と思っていた。
この後何杯かの酒を飲まされたところで記憶が途切れてる。
星空は頭の痛みで目が覚めた。薄暗い部屋だ、だが来たことのある部屋だった。どれぐらい経ったか星空には分からないが、おそらくはあの地獄の酒盛りから数時間は経っているだろう。頭はズキズキしているがいつまでも寝ているわけにはいかない、重い体を起こした。
「うっ...うぅん...」
その時、星空の横から女の声が聞こえた。その声に気ずき、すぐに声のした方へ視線を向けた。星空はその声の主に驚いた。
「り...鈴...!?」
「ふぇぇ...かなた...?」
そこにはキョトンとした顔の鈴がいた。軍服は少しはだけてしまってる、そのことに気づいた鈴の顔はみるみるうちに赤くなっていく、星空は苦笑いで誤魔化そうとしとしたが現実はそう上手くいかない。
鈴は大きな声を上げて星空を部屋の外へ閉め出されてしまった。部屋番号をよく見るとそこには鈴の部屋に番号が書かれていた。
「嘘だろおい...」
星空はあの酒盛りのあと何故か鈴の部屋へとやってきていた?これには語弊があり正確には連れてこられたのだ、隊長たちからその話を知らされるのはかなりあとになってからの話。
「鈴、済まない悪かった」
何度か謝罪の言葉をかけては見たが機嫌が治る様子はない。星空自信こんな状況下に置かれたことがない。だから、こんな時どう対処すればいいのか正直全くわからなかった。そう考えあぐねていた時だ。
後ろから
「そこに居るのは星空少尉か?」
星空はその声のする方へと顔を向ける。
「どうされましたか曹県準チョ・ヒョジュン中佐」
「いや、どうしたも何も君はここで何をしてるんだい?」
この質問には「なぜ君は女の部屋の前で屈んでいるんだ?」と言う意味が入ってる
「まあ、あながち君のところの隊長が原因だろうけどね」
県準ヒョジュンはアドリアン隊長と旧知の仲なだけあってすぐに原因を察してくれた。
「まあ、けど1つ聞いてもいいかい?」
「はい...構いません」
「どこまで行ったのあの鈴って子と」
星空にとって今一番考えたくないことを躊躇なく聞いてきた。
「勘弁してくださいよ〜」
この後星空は色々なことを聞かれたが全部「覚えてません」の一点張りでしのいだ。
そんなこんなでどうにか自室に戻れたが星空のルームテレホンが通知を表す青色の光を放っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます