第3話 ローレム隊
-第三十四技術試験部隊 通称ローレム隊-
統一歴173年地球外生命体との戦争が始まって7年が経った、だが今も尚地球協商軍は敵に対して防衛に徹していた、なぜなら敵はこちらへのワープと言う移動手段があるが、地球協商軍はまず敵の母星を見つけることから始めなくてはならないだが、その敵の母星を見つけたとしても、そこへの移動手段が今の協商の科学力では実現不可能なのだ。
だが、この課題を解決しない限り協商軍に勝ち目はないのだ、この状況を打破するための部隊それが
第三十四技術試験部隊 通称ローレム隊、開戦から7年間の戦闘で大きな戦果をあげたパイロットや、軍学校で好成績を残した優秀生などから選抜で選ばれる正真正銘のエリート隊なのだ。
土星空域Jg-3Eこの空域は土星の象徴的存在である環にあたる部分でその中でもG環にあたる空域だ、7年前までは氷が殆どだったが今では戦艦やBBなどの残骸が目に映る、その中のひとつに三機の偵察型BB(バトルボット)である先行偵察型リグドグが息を殺すように隠れている。
コックピット内ではモニターに映し出される偵察用固定カメラの映像を確認しながら偵察をしている
「以前敵影なし」
「こちらも確認できません」
僚機からの報告を受けアレクサンドリア少佐はあることを決める。
「よし、もういいだろう、このポイントは諦めて次のポイントに移る」
部隊長の決定に従い僚機の2機が動こうとした時
「カメラA、カメラBに反応アリ。Aには空母艦隊Bには敵BB(バトルボット)部隊です。最後尾は特異型です」
その時アレクサンドラは絶句した。なぜなら特異型とは最近戦場で報告され始めた機体で他の量産機とは違い、新型もしくは、試作型の強力な武装を搭載した機体なのだ。
今この機体に遭遇するのは、極めて危険なのだ。
なぜならこの偵察型では最低限の武装しか装備してなく、しかも偵察用の装備をしているため動きに大きく制限が出てしまう。そう、今この部隊には特異型も含め殆どの敵機に対して最低限の装備しかなく抵抗のしようがないのだ。
「あ、今特異型が増槽をパージしました。」
この言葉にアレクサンドラは嫌な予感を覚えたが動こうとはしなかった。
「隊長このままだと...動いた方がいいのでは?」
2番機のカイザーが意見をあげる
確かにここは撤退した方がいいのかもしれない、しかしここを下手に動けば敵に見つかる可能性も大いにある、だがそれ以前にアレクサンドラには気がかりなことがあった。
なぜ敵は増槽をパージしたのかそう考えた時、なぜ敵がそのような行動をしたのかを悟った。
だが、それももう遅い、既に目の前ではそれまで作戦を共にしてきた部下たちの機体がスクラップと化していた、機体のコックピット部分を綺麗にえぐり取られているこれでは生存など見込めない程だった。
「フィッツ、カイザーッッッ!!!」
そしてアレクサンドラは自分に恐怖した。
彼は今の機体では勝てないことを知っていながら自分の部下達を殺された、いや助けられなかった自分への怒りに任せ、敵の機体に向かって突っ込んでいるのだ、普段なら考えられない行動で自分が怖くなったのだ。
「このクソ野郎がァァァ」
PP-5アサルトライフルで牽制射撃をしながら急接近し、腰にマウントされた粒子サーベルに手をかけ、そのまま敵にサーベルの斬撃を入れる。だが、その斬撃は空を切る、咄嗟に敵を見つけるため辺りを見るも敵は居なかった、その時、バックモニターが目に映った、その時アレクサンドラは完全に戦意を失った。
それもそのはず、そのモニターに映っていたものが特異型であり、そして自機の下部に搭載した大型のビーム砲をこちらに向け今まさに発射するところだったからだ。
「けっ...あいつに言えなかったな...」
この言葉の後バックモニターが赤く光る、アレクサンドラは背後に熱を感じたところ目を閉じた。
そして、アレクサンドラ少佐含む第三十強襲偵察部隊は全機未帰還となった。
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