第16話 1テーブルを超えたら大人数だと思っています
「もっと社交的にならないと」
「もっと人脈を広げないと」
いつからだろう、このような強迫観念に苛まれるようになったのは…。大学に入ってからだろうか。
大して付き合いが深くない人の結婚パーティーに誘われて8000円くらいの会費を払ってみたり、大して仲良くなかった旧友の集まる同窓会に顔を出してみたりしてきた。あぁ、仕事絡みで異業種交流会に参加してみたり。
しかし、そういった場所に出向いても、私はこの性格なのでただただ居心地の悪い気分だけをお土産に持ち帰るだけだった。
「ダメだ、もっと社交的にならないと。次はもっと積極的に話しかけないと」
帰り路、あるいは自宅についてからも、毎回こう思った。その繰り返しだった。
・初対面の人ともすぐに打ち解けることができる
・話が途切れない
・人脈が広い
・話が面白い
仕事ができる人というのは、こういう人なのだと思っていた。魅力的な人というのは、こういう人なのだと思っていた。そして、自分自身もそうならなければダメなんだと思っていた。
世間一般として、仕事のできる人や魅力的な人というのは、やはりこういった要素を兼ね備えている人なのだと思う。今でもそう思う。
しかし、HSPという存在を知った今、考え方が少しばかり変わった。
「いや…、でもほら、私の場合は、ぶっちゃけなろうと思ってもそういうタイプの人にはなれないし。
そもそも大人数の集まりが嫌いだし、初対面の人とは何を話せば良いのかわからなくて気まずいし…。そんなの子供の頃からずっとそうだった。今さら何を嫌な思いをして強迫観念に駆られて人脈を広げにゃならんのか」
自分がHSP”かもしれない”ということがわかって、そんな風に少しだけ割り切ることができたような気がする。
あぁそして、時は師走。忘年会シーズンだ。自慢ではないが私は交友関係が狭いので、忘年会の数というのはとても限られている。けれど、なかには大人数の忘年会もある。そして、大人数の忘年会に出ると、なかなかの疲労を感じる。
ちなみに私は、1テーブルを超えると、つまり5名以上から大人数だと捉えている。
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