この物語にタイトルなんて必要ない!

たけのこ

全ての始まり

カラカラカラ

カラカラカラ。


冷たい色をした廊下に、車輪の音が響く。

私の靴音の代わりになるその音だけが、この世界を満たしている。

そして、目的の部屋の前にたどり着く。


私は、ここに立ち入ることは許されていない。

だって、あの子がこうなってしまったのは私のせいだもの。

ここから、眺めることしかできない。


———お子様は最近、よく笑うようになりましたよ。

そんな、責任も何の意味も無い医者の言葉。

こんなところに閉じ込められて一人で笑うだなんて、むしろ悪化している。

でも、私のせい。


だから、私は今から、あの子と同じ世界に行こうと思うの。

せめて、私のことだけでも思い出してほしい。

そう願いを込めながら、あなたに贈る物語。


きっと、気づいてくれるよね?

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