After Data.46 弓おじさん、波状攻撃
30秒が経過し、【ツインジェットスチームアロー】の効果が切れる。
そして、吹っ飛ばされていた風雲神竜が雲の壁を突き破り繭の中に帰還する。
さっきまでは恐ろしく見えていたその姿も今はそうでもない。
あれは……倒せる敵なんだ!
「ガー坊、雲から雲にジャンプ出来るか?」
「ガー! ガー!」
ガー坊はぴょんぴょんと軽快に雲の上を飛び跳ねる。
なるほど、ユニゾンも雲の足場の性質を利用出来るというわけか。
本来ガー坊の短い脚で高く飛ぶことは出来ないが、これなら……!
「ガー坊、黒子ガイルだ! 分身と一緒にそこらじゅうを跳び回って、四方八方から攻撃! 風雲神竜の自由を奪うんだ!」
「ガー! ガー!」
今回は安易に合体奥義を使わず手数で攻める。
そして、どうにかして風雲神竜の動きを止めることが出来たら、【
どちらも威力は絶大だが、自由に飛び回れる状態の風雲神竜に当てられるものではない。
だから、とにかく動きを制限し当てられる状態を作り出すことが目標だ。
風雲竜との戦いでは強力な攻撃手段を持っていなかったため、無心で矢を撃ち続けることしか出来なかったが……今は違う。
より確実な勝利への道を考え、組み立てていける力がある!
「ビッグサンダーアロー!」
雷をまとった巨大な矢が風雲神竜に迫る!
しかし、風雲神竜はその鋭い爪に風をまとわせ、矢を叩き落してしまった。
やはり正面からただ撃つだけで勝てる相手ではない。
だからこそ……!
「ガー! ガー!」
ガー坊の放った【テンタクルレーザー】が風雲神竜にヒットする!
矢だけならば叩き落せる。
レーザーだけなら飛び回って回避出来る。
ほぼ同時に放たれたからこそ、片方がクリーンヒットしたのだ!
この調子でなるべく多くの攻撃を同時に浴びせていこう。
奥義じゃなくても構わない。
とにかく攻撃を当てて、風雲神竜の動きに制限をかける!
「ガー坊、
ガー坊とその分身たちの口から電気が放たれる。
ほとばしる無数の稲妻……雲の中らしくなってきたじゃないか!
キョオオオオオオォォォォォォーーーーーーッ!!
風雲神竜が6枚の翼をバサバサとはためかせ、自身の周囲に暴風を巻き起こす!
その影響でガー坊たちが乗っていた雲が掻き消える!
同時にガー坊たちも吹っ飛ばされ、分身の何体かが雲に跳び移れず、落ちていってしまった。
「
【サンダーアロー】と【風神裂空】の融合奥義!
超高速の雷の矢は回避不能……のはずだった。
あろうことか、風雲神竜は頭部をわずかに動かし、それを回避したのだ!
そして、その目はまだ俺を見ている。
マズイ……ブレスが来る!
その時、風雲神竜の左胸に氷柱が刺さった。
これは……エイティの【
胸を貫くことでダメージが2倍になる変わった奥義を受け、風雲神竜が攻撃を中断する。
この隙に態勢を立て直し、攻撃を再開する!
「ガトリング・サンダーアロー!」
今回は雷属性をメインに使っていく。
別に風雲神竜に対して特効があるわけではない。
ただ、風神に対抗するなら雷神……雷の力だろうという勝手な思い込みだ。
まあ一応、雷属性には敵を痺れさせる効果もあるっぽいし、これで動きが止まってくれればという期待はある。
しかし、スキルである【サンダーアロー】程度の威力では風雲神竜は痺れない。
痺れるとすれば雷属性の奥義である【インドラの矢】だが、これまた相手の動きを止めないと当てにくい奥義なんだよなぁ。
……いや、【インドラの矢】を簡単に当てる方法ならある!
確か【ツインジェットスチームアロー】にはどんな奥義を融合しても矢を真っすぐ飛ばす効果が……。
キョオオオオオオォォォォォォーーーーーーッ!!
風雲神竜が突進の準備動作に入る。
狙いは……アルテミス号か!
さっきのエイティの攻撃がヘイトを買った感じだな……!
だがしかし、その突進はさらに強い突進で止められることを知っている!
「
俺自身の突進で俺の船を守る!
横腹を突くように攻撃を仕掛けると、案外簡単に風雲神竜の突進を止めることが出来た。
流石の竜も横腹を突かれるのは弱いらしい。
そのまま俺は回転しながら突進し、風雲神竜を雲の繭の外まで押し出す!
そして、【
そう、今の俺は炎の翼を生やし、24秒間の飛行が可能なのだ!
これなら空中で【アイムアロー】を使うのも怖くない!
ダメージを受け落下していく風雲神竜を尻目に、俺は雲の繭の中のアルテミス号に帰還した。
「ガー坊、1回船まで戻ってくるんだ。今のうちにMPを回復しておこう」
風雲神竜はまだ倒せていない。
いずれまた雲の繭の中に戻ってくるだろう。
でも、確実にダメージを与えられているし、なんならこっちが押している!
この調子でいけば……勝てる!
その時、雲の繭を突き破り、風雲神竜が現れた。
位置は……アルテミス号の真横だ!
まさか、アルテミス号の位置を予測して大きく回り込み、奇襲を仕掛けやすい場所から繭の中に戻って来たのか!?
そ、それほどまでの知能が……!
「エイティ、緊急回避だ!」
「ヴルル……ッ!」
しかし、時すでに遅し。
エイティが操舵輪を握る頃には、風雲神竜の鋭い爪が船体に食い込んでいた!
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