Data.200 異人伝:絆の未経験
サトミたちとクラッシャーの戦いもまた【
【
サトミは3体のユニゾンに加え、アンヌとも合流することでその戦力を5人とした。
対するクラッシャーはただ1人……。決着はすぐにつくと思われた。
しかし、ふたを開けてみれば5対1の戦いはクラッシャー有利に進んでいた。
なぜこのような事態になったのか……。
その理由はお互い理解していた。
「要するに修行不足……! 法師殿はそのミラクルエフェクトの情報を隠そうとするあまり、大会までに対人戦を行ってこなかった! 無論、その代わりに人気のない場所で対モンスター戦を繰り返してこられたのでしょうが、対人戦の感覚を掴むには結局対人戦をこなすほかないのですな!」
「くっ……!」
図星だった。
サトミはミラクルエフェクトの情報がネットに広まることを恐れ、大会が始まるまで対人戦で発動したことは一度もなかった。
プレイヤーに対して初めて【
あの時はコアの方も【
しかし、クラッシャーは観戦によって【
もちろん、いくら手練れのプレイヤーとはいえ1回見ただけで完全に技を見切れるわけではない。
だが、断片的にでも知っているのと、まったく知らないのとでは天と地ほどの差があるのだ。
「ズバリ、連携が非常に甘い……!
その通りだった。
クラッシャーのあえて無駄を混ぜ込んだ動きは予想が難しく、ユニゾンたちも混乱する。
それに加えて今はアンヌも一緒に戦っている。
ゆえに急に連携しようとして上手くいく時もあれば、噛み合わない時もある。
今回はまさに噛み合わない時だった。
「お仲間だというのにお互い遠慮がちですな。それならば1人で戦った方がまだマシではありませぬか?」
「そうかもしれません。今までは……!」
サトミたちはクラッシャーを取り囲むことをやめ、横一列に並んだ。
これならば少なくとも自分の攻撃で仲間を傷つけることはない。
代わりに攻撃が1方向からになり、回避や相殺がしやすくなるが、そもそも数的有利はサトミたちにある。
5つの奥義を一気に放てば、たった1人のプレイヤーに受け止められる道理はない!
「
「
合計5つの奥義に対し、クラッシャーは両膝と両手を地面につけ
「
その瞬間、サトミを中心とした半径数メートルの地面がぐるりと180度回転し、サトミたちはクラッシャーに背を向ける形になった。
さらには放った奥義までもが180度回転し、クラッシャーとは反対の方向に飛んでいく……!
サトミたちは一瞬何が起こったのか理解できず、動きが止まってしまう。
「1人であれほどの奥義を受け止められますまい。だから、こちらへ飛んでこないようにしたまでのこと」
クラッシャーはいずれ奥義でゴリ押されることを予想していた。
そして、その対策こそが敵の向きを変え、奥義の向きすら変えてしまう奥義【
直接敵の奥義とぶつかるわけではなく、敵の足元の地面を少し回すだけの効果だからこそ、どんな強力な攻撃をも無効化してしまうとっておきの切り札になり得たのだ。
「
クラッシャーがサトミに迫る……!
そこへ割って入ったのはアンヌだった!
「反応が早い……! なるほど、これが本能型と評される
クラッシャーの接近に気づくのは早くとも、ハンマーを振り回して間合いを維持するには遅かった。
懐に潜り込まれたアンヌに対してメイスが振るわれる!
「鎮魂粉砕!」
両腕装備の装甲で攻撃を受けるアンヌ。
流石は重装タイプの前衛職。1発2発攻撃を受けたところで揺らぎはしない。
それも不自然なまでに……!
「心が鎮まれば、身も沈む……悪くないこじつけですな!」
【鎮魂粉砕】はダメージを与えた相手の重量を増やす効果を持つ。
一撃の威力が高いのにも関わらずアンヌが吹っ飛ばないのは、この効果のせいで重量を増やされているからなのだ。
こうなると衝撃の逃げ場がなくなり威力が増すだけではなく、そのままの意味でも逃げられなくなる。
脱出は絶望的かと思われたその時、我に返ったサトミが援護に入った。
クラッシャーはそれを敏感に察知し、引き下がる。
「ふぅ……。1対5でも攻撃を受け流すことは出来ますが、仕留めろと言われると厳しいものがありますなぁ……。やはり、戦いは数。こちらも頼れる同胞と合流させていただきますか」
今、クラッシャーとバックラーが並び立つ……!
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