第二章 殺人鬼・傷無しメワン
第9話 殺人鬼
ジガンは俺の正体を明かし始めた。
「あいつはリャクト・シャール・F。ランクSSの賞金首の四人の内、世界二位の賞金首だ。賞金額は五十三億Reで古代兵器の銃を武器に使っている世界で唯一の人間だ。そんな奴がドギなんぞに負けるはずがないってわけさ」
「何!?ジガン、お前知ってたのか?」
ドギは目を見開き、驚愕といった顔をしていた。
「あぁ。酒場で見たときからどっかで見たことあるとは思ってたが、ここに来て確信したんだ」
「私もそれくらいならとっくに気付いてましたよ」
「なんで教えてくれなかったんだ!」
「気付かないお前が悪いな」
「ジガンの通りですね」
ドギはその言葉に何故か落ち込んでいた。
「えっ!?リャクトってそんなすごい人だったの??」
「おい、ドギ。お前の負けみたいだし、ナウラもやられたみたいだから俺たちはさっさと退散しようぜ」
「…………」
ドギからジガンへの返答はなかった。ジガンはそれを承諾と受け取ったのか、階段へ歩を進めようとした。が、一歩歩みでてからジガンは何かを思いだした。
「あっそうだ!タリィ、ナウラは頼んだぞ」
「あなたに指図されるのは気に入りませんが、ナウラは私が承りましょう」
ドギ一家は静かに退散していった。
「ふぅ、さぁて俺も疲れたから帰るかな。今日はちょっと頑張り過ぎたし」
「そうだ。私はお主に付いていくことにしたぞ」
「はぁ?なんでだ?」
レロイの突然の言葉に俺は少しだけ虚を突かれた。
「私はお主には勝負に負けただけではなく、命までも助けて頂いた。次は私がお主を助ける番だ」
「なんでそうなるんだ?」
「なんでもだ!もう決めたことだから変える気はない」
「頑固だな。ったく、勝手にしろ」
「はいはいはいはい!」
サユハは体中が傷付いてるのにもかかわらず、元気良く手を挙げている。
「今度はお前か…なんだ?」
「あのさぁ…なんかさっきから話してるこの人は誰?」
「あぁ、こいつか?こいつは双頭獣だ」
「??」
サユハは首を傾げ、顎に指を当てた。
「元々は人間らしくて、それに戻ったんだって」
サユハは黙り込み、考えをまとめているようだ。
「………えぇーーーー!!!」
「煩いな。少し黙れ、サユハ」
「だってだってだってだってだって!!普通驚くじゃん!あんなおかしな生物の本来の姿がだよ?こんな普通の、しかもちょっとカッコイイなんて!」
「あっそ。俺は先に帰るぜ」
俺は疲れていたのでサユハを無視し、帰路についた。
「私はレロイ・トールと申す。よろしく頼む」
「は、はい。私はサユハ・ノルンドーラです!あっ、リャクト!ちょっと待ってよー!置いてかないで!」
俺たちは日が傾き始める頃に宿屋へと戻った。
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