38 創世記 ジェネシス
創世記 ジェネシス
君を永遠に、瞳の中に閉じ込める。(それは魂の牢獄である)
コスモスは歌を歌った。
それは不思議な歌だった。
その歌を聞いているだけで、フユの心はとても安らかな、落ち着いた気分になった。
「素敵な歌だね」
歌を歌い終わったコスモスにフユは言った。
「ありがとう」
少しだけ照れながら、コスモスは言った。
「歌を歌うことが好きなんです」
歩きながらコスモスは言った。
二人はあれからずっと、緑色の大地の上を手をつなぎながら歩き続けていた。足元には土色の小道があって、その道の上をコスモスはずっとフユの手を引っ張るようにして歩いていた。
そして歩きながらコスモスは歌を歌っていた。
「でも、私の模造品たちは歌を理解してはくれなかったんです」コスモスは言った。
「模造品?」フユは言う。
「私によく似た、私ではない人たちのこと。その集合」
「コスモスの家族、あるいは姉妹のような人たちのこと?」フユはハルのことを考えながらそう言った。
「違います。あの者たちは私の家族、ましてや姉妹なんかではありません。決して」とちょっろだけ頬を膨らませて、怒ったような口調でコスモスは言った。
「ごめん」フユは言う。
「あ、いや、謝らないでください。フユ。……こちらこそ、ごめんなさい」
コスモスは言う。
「ううん。悪いのは僕だから」とフユは言った。
それからフユは青色の空を眺めた。
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