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ソラと機械技師のマスターは(おそらくは向こう側の政府の意思で)壁の内側に侵入した。
しかし、ハルがワールドエンドを作動させたことで、自体は一変した。
その機械技師のマスターはハルがワールドエンドを作動させたこと、つまりはコスモス(あるいは壁の中に封印されていた重要な情報)と情報士が接触したことをなんらかの方法で認識した。
その瞬間、機械技師のマスターはソラを壁の中に残して、どこかに一人で撤退したのだと思われる。
なぜソラを壁の中に残していったのかはわからない。
機械技師の中には機械技師たちの事情というものがあるのかもしれない。
あるいはソラは機械技師のスパイであり、ソラの言ってることはすべて嘘で、ソラはハルを監視するためにハルと一緒にいるのかもしれない。
ハルは壁の外に出た途端、どこからか狙撃されるのかもしれないし、機械技師たちに拉致されるのかもしれない。
もしくは、ソラが嘘を言っていなかったとしても、機械技師のマスターはおそらくはプランAからプランBにワールドエンドの作動によってその任務の内容が変化しただけで、今もなんらかの方法でハルを狙っているのかもしれないし、あるいは消えてしまったフユとコスモスを追いかけて行ったのかもしれない。
あるいは本当に壁の外に出て、自分たちのねぐらに帰って、情報士と壁の内側に封印されてた情報との接触と、そのせいで起こったワールドエンドの作動の報告を、たった一人でのちに機械技師と呼ばれるようになる天才たちの集団を立ち上げた伝説的なハッカーである(なにせ彼はもう百年前からその名前だけが一人歩きしているのだ)奴らのリーダーに報告しているのかもしれなかった。
「そろそろ行こうか?」ハルは言った。
「そうだね。休憩は終わり。そろそろ先に進もう」とにっこりと青空のように笑って、ソラは言った。
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