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試験会場の近くでは、大画面の中から東区の画面に映っていた女の子と同じ黒髪の女の子が笑顔で会場の中に入っていく人たちに話しかけていた。
『みなさん、私たちの元気は私たちだけのものではありません。みんなのものなんです。みなさんが明るく笑顔で生きることで、周囲の人々をあなたと同じように笑顔にすることができます。そして一人では生み出せないほどの多くの幸せを作り出すことができるのです。明るい未来がみなさんを待っています。その場所まで皆で共に歩んでいきましょう』
「相変わらず無愛想に淡々としゃべってるな」と画面を見てレインが言う。
街中に設置されている画面の中から不特定多数の人たちに話しかけたり、その日の情報などを提供してくれたりしているこの女の子は『語り部の巫女(アイドル)』と呼ばれている存在だ。ここまでは常識の範囲内の知識。ただ彼女にはなんていうか一部にすごく熱心なファンがついているのだ。淡々と喋り続ける女の子が魅力的に思えるほど訓練された住民がこの街にはいるらしい。
「なになに? レインはあれかな? ああいう女の子が好きなのかな?」
「ち、違うよ。あれだよ、あれ。ほら、よく見るからさ。それでちょっと気になるだけだよ」
二人はそんな会話をしながら試験会場内に入っていった。
「じゃあ私、ここの部屋で試験だから」
「おお、頑張れよ」お前もな、とアリスは心の中で思う。
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