幼馴染とのやり取り編
学校の通学時、僕は翔と柚と3人一緒。でも高校まで一緒に行くことになるとは思っていなかった。はっきり言って幼馴染ふたりは僕より頭がよくもっと上の高校に行くと思っていたからだ。これからのんびりと高校生活を満喫して新しい友達を作るぞと思っていたんだけどふたりとも同じ高校を受けていた。何故と僕はふたりに問いただすと「透(くん)が行くところに行くに決まってる」とふたり揃って答えてくれたよ。
その言葉は本来嬉しいことなののだけど本音を言うとふたりとともに僕がいるという状態はもうしたくなかったんだ。カップルに付き添う僕。それを例えた言葉「金魚のフン」いいかげんにその扱いから抜け出したかった。僕たち3人がそうじゃないとわかっていても周りはそう思わないから。
だから高校になって僕はふたりと別れて通学しようとした。でも無理だった。ふたりは僕の家の前まで来るようになった。そう出迎えだ。「逃げても捕まえるからね」とふたりは僕を狙っていたのだった。なぜそんなに僕にこだわるのかわからない。ほんとなんでだろう……
学校につくと僕はまっすぐに席へと向かう。柚は同じクラスになってしまったけど翔は隣のクラスだった。けれどそんなの関係ないと翔は鞄を置けば僕のクラスの僕の席へとやってくる。まあ日課だ。柚は友人も多いからか多くの友人と話し終えてから僕の席へとやってくる。いやふたりともこなくていいって。
でもね、普通この状況を見ると僕からふたりに近寄っていないことがわかるだろと思うんだけど周りはそう取ってくれないわけで。「またふたりを呼びつけてるよ」となぜか僕が偉そうに呼びつけていると思われていたりする。
いや……僕は来てほしくないんだよ
なんて言ってみたいけれど、そんな事言えばまあ逆に「せっかく来てもらってるのに嫌なやつだ」なんて周りからきっと言われるんだろうな。
「そうそう、透おめでとう。とうとう彼女が出来るのか」
翔は昨日現場には居なかったのでその場面は見ていない。けれど逐一柚から聞いていたみたい。というかこんな大事な現場についてくるなよと僕は思うんだけどね。
「ああ。だからさ、今後別々に行動しないか? 知らない人に囲まれても白井先輩も困るだろうからさ」
と僕が言うと
「いやいや今後4人になるんだよな? 幼馴染集合じゃなくプラス透の彼女ってことになるけどね」
と4人行動が決まっているような口ぶりな翔。そして友人と話が終わったのか柚もやって来て
「そうだよ。そういえば私以外に女性は初めてだね。なんだか嬉しいかも」
と柚まで決まりきったことのように言ってくる。まあ確かに今までと違い、僕の彼女として白井先輩も居れば金魚のフン扱いはなくなるのかもしれない。でもさ。お互いカップル同士だろ? 別行動でいいだろよとそんな思いから
「いや翔と柚も恋人同士だろ? こっちもカップルになったわけだから別行動でいいだろ? 」
と僕が再度告げると
「いや恋人とかカップルとか関係ないだろ? 俺たち3人一緒が当たり前だ」
「うん、あっ今度から4人だね」
とふたり譲らない。とよく考えればこのふたり、ふたりっきりとかなることあるのか? と疑問に思い
「翔と柚さ。ふたりっきりになったりふたりでデートとかしないの? 」
と聞いてみると
「デートは3人でしてるじゃない? 」
と柚が
「ふたりきりより3人がいいな」
と翔が答える。というかふたりとも……僕はふたりの関係に関係ないよね?
「はぁ……なんでだよ? ふたり付き合ってるよな? 」
と僕がまた突っ込むと
「俺たちが付き合ったのって透がふたりはお似合いだって言うから」
「そうそう透くんがそれが良いって言うから」
「「付き合っているんだけど? 」」
と訳のわからないことを言い出した。え? 僕が言ったから? でなんでいう事聞いてんの?
「でもふたり好き同士だよな」
と僕は頭を抱えながらそう言うと
「そりゃ幼馴染だし好きに決まってるよな」
「そうだね。でも透くんも好きだよ」
とふたり答えを返してきた。なんなんだよ、このふたり。というか今まで聞かなかった僕も馬鹿だったと思った。普通馴れ初めとか聞いたりするよな……ああっ失敗したわと更に頭を抱えこんでしまう。そんな僕を見た翔は
「まあ幼馴染の関係は切れない、永遠だ」
と言い、柚は
「透くん離すわけないじゃない。白井先輩にだけにあげるわけないですよーだ」
と言って翔は隣のクラスに、柚は席へと戻っていった。
えーと……幼馴染ってこんな関係だったっけ? と僕はそのことだけをいろいろと考え悩んでしまうのだった。
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