幼馴染よごかんべん。そして張り合う年上の彼女
ここです。
先輩からの告白編
僕、
ついてきたのは
で、なぜついてきたのかというと僕のことが心配だからと言って……「いや僕のことなんて心配しなくていいよ。翔の相手をしてなよ」といつも言うんだけれど聞いちゃくれない。というのも彼氏である翔も「透のこと心配だからついてって」なんて言ってたんだよね。透も一緒に来たかったらしいけれど用事があるからと柚に全て任せたと言っていたらしい。いや彼女を幼馴染としても他の男に付き合わせるなよ? ちょっとおかしいぞ?
まあ本音を言うと僕ふたりから離れたいんだよ。いや、別に一緒に居て嫌とかそういうのはないんだ。ふたりが付き合ってよかったねとも思ってるし嫉妬なんて全く感じていない。ふたり幸せでいいじゃないかと。
けれどね。それと僕がふたりと一緒に居なきゃいけないのは違うと思う。またカップルの邪魔をしてるだの言われたりするし、おまけに周りからはふたりの「金魚のフン」なんて言われてたりする。でもね……違うんだ。
僕が付きまとわれてるってーーーーーの。
話がそれたけれど、柚は断ってもついてくるため諦めて引き連れたまま屋上へと来たわけで。
さて、呼び出しを受けたのだけれど誰が来るかはわからなかった。名前が書いてなかったせいで。まあそのおかげでふたりが余計に心配してしまったのもあるんだよね。「悪戯かもしれないから透、気をつけて」ってふたりに心配そうな目で見られた時は泣きそうだったよ。なんでそこまで心配されるのか。僕は子供かっての、あっまだ子供だね。高校生だし。
しばらく待っていると一人の女性がやって来た。青いリボンをしているからひとつ上の先輩のようだ。というか見たことある……顔でもあった。
待ち人は違うだろと思っていると
「来てくれたんですね。荒川さん」
とやって来た女性からそう告げられた。って待ち人はこの人? と僕は驚いた。
その人を何故見たことあるかというと生徒会の副会長をしている人だったから。まあ僕は名前を白井さんとしか知らない。結構人気もあるんじゃなかったかなあと。人気だけなら会長らしいけれど大人しいらしく全面に出るのが苦手ということで副会長になったと聞いたことがある気がする。
と、白井さんのことを考えているところに
「透くん透くん。白井先輩ですよ、白井先輩。副会長の」
となぜか柚のほうがびっくりして白井先輩と連呼していた。ついでに僕のも。そんな柚の声を聞いてか白井先輩は
「やっぱりいらっしゃるのですね。戸川さんも」
と分かっていたように白井先輩は少し落胆したように言う。まあ仕方なく僕は
「はぁ……どうしてもついてくるって聞かなくて……すいません」
と呼び出しに関係ない柚を連れてきているわけで僕には白井さんに謝るしかなかった。すると
「いえいえ荒川さんに言ったわけではありませんから。気にしないでください。分かっていたことですから。それに今日はひとりだけのようですし」
とキョロキョロと白井先輩は周りを見渡していた。その様子を見るとどうも幼馴染ふたりが僕についてきていることを理解しているようだった。周りの人はどっちかというと僕がつきまとってるようにみてくるからなあ。
「えーと柚が居て申し訳ないですが、お話というのを聞かせてもらってもよろしいですか? 白井先輩」
とこのままでいても仕方ないと僕は白井先輩に話を聞くと
「えーと。荒川さん、よかったら私と付き合って頂けないでしょうか? 」
と告げてきた。うーんと僕は少し考えてみた。付き合うって何にだろう? 生徒会に誘われたってことか? でも僕だよなといろんな事が思い浮かぶけれどよくわからない僕は
「えーと、何に付き合ったら良いんでしょうか? 」
ととりあえず聞いてみた。すると白井先輩は
「いえ……そうではなくて私の恋人としてお付き合い頂けないでしょうか? 」
と言い直して僕に再度告げてきた。うん? 恋人? 僕?
「えーと? 罰ゲームか何かですか? 恋人と言われても金魚のフンとか言われてる僕ですよ? 」
と疑問に思って聞き直そうとそう発した僕を差し置いて柚が
「うわーーー。白井先輩が透くんに告白だって。後で翔に連絡しなくちゃ。でも白井先輩! 見る目がありますね。透くんはとてもいい子ですよ? 」
いやいい子って僕は柚の子供かよ? と思ってしまったよ。というか柚のほうが興奮して白井先輩になぜか僕を押していた。おかげでその勢いに白井先輩も少し尻込みしていたようだけれど
「罰ゲームとかではないです。荒川さんのことが好きなんです。なので付き合って頂けたらと……」
と流石に何度もいうことに照れたのか顔を赤くする白井先輩。元々大人しい人って聞いてたし……結構勇気がいったんだろうなあと僕は思った。
僕は考える。白井先輩のことははっきり言って少ししか知らない。でも嫌いでもない。綺麗な人だし性格も良さそうな感じの人だしといろいろと考えた後……
「えーと友達からゆっくりとでいいですか? 僕自身に白井先輩に対して好意は持っていると思いますけどまだ白井先輩のことをよく知りませんので」
と言うと白井先輩は
「本当ですか? 荒川さんこれからよろしくおねがいします」
と嬉しそうな顔をしながら僕に告げてきた。そして
「おふたりには負けませんから」
なんて言葉を発していた。
いや……ふたりってもしかして幼馴染に対してかな? と少し不安に思っていると
「透くん、翔に連絡したら「おめでとう。でも簡単には上げませんよ。幼馴染の関係は固いですから! 」って言ってたよ」
と訳がわからない言葉が帰ってきた。それを聞いた僕は頭を抱えながらお前らのものじゃないぞと思うも柚を相手にしても多分話は終わらないやと諦めてしまうのだった。
なんだよ……この幼馴染たちは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます