第8話
翌日、私は早めに出勤し、劉天のホテルに立ち寄った。部屋に行くと、寝起き眼の彼が迎えた。
「おはよう」
「うん、おはようございます」
「ホテルのチェック、自分でできる?」
うん、と肯きながら、彼は立ち上がり、バスルームに向かう。私が待っていると、顔を洗った彼が、上半身裸のまま後ろから抱きついてきた。
「仕事があるから、私は行くけど」
振り向いてそう言う私の唇に唇を重ねる。ちゅ、と唇を吸って私を離した。
「夢じゃない」
私を見下ろしながら、嬉しそうに言う。その笑顔に胸がとくん、と鳴った。
「昨日のことは、全部夢かもしれない。昨日、ベッドの中で考えた。そして、何度も先生の温かい、柔らかい、触る感じ、思い出した。先生は…すごく温かくて、すごく柔らかくて、気持ちがいい」
彼の親指の先が下唇をなぞり、それから指先で唇を割った。そのまま、顔を近付けてきて唇を吸い、舌を差し入れる。深いキスに、崩れそうになる私を支えて、彼は私を壁に設置されたテーブルに押しつけた。
スカートをたくし上げ、下着を下ろして、既に潤い始めた私の中に指を差し入れる。
「ああ、やっぱり、夢より本物がいい」
彼はそう言って、トランクスをずらしてゴムを着け、私の中に入ってきた。
「昨日、何度も何度も、思い出したけど、本当にしている今が、もっといい」
囁かれる度に、気持ちが高まった。彼を制するどころか、煽るように腰を動かしてしまう。
「は、あ…劉天…」
こうするために来たわけではなかったのに、彼を拒むことはできなかった。彼に求められるまま、体を合わせる。そうして、お互いの熱の高まりが去った後、私は乱れた身なりを整えてホテルの部屋で彼と別れた。
仕事場に行っても、私はふわふわした気持ちを持て余した。この後ろめたさを凌ぐ気持ちの高まりを、今の私は抑えることができなかった。
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