第17話
女王って魔物に狙われてるんじゃないの?」
「狙われているのは確かね、でも継承がなされて神力を纏った王杖を持つ女王に
そう簡単に手は出せない。」
「王が行方不明で神力を纏わない隙きを狙われた?魔物が王を亡き者に?」
「その可能性は有るけど、断言はできないわね」
「暗殺とか・・・・」
「今は大丈夫。変装をして避難民に紛れてるから誰が女王か解らない。
それに兵士や隊長さんが守ってくれているわ」
「今は、って・・そのうちバレるだろ。」
「ヒーラーが教えてくれたの」
「?」
「タケシはコンロを使えないでしょ?」
「それは、まだコツが掴めないから」
「私はそれでも構わないわ。教主様はタケシを大事な人だって・・・私がタケシを守る」
「へ? あ、ありがたいけど、魔物には勝てないだろ?」
「タケシに勝てる女なんているのかしら?」
「人を淫魔みたいに言うな!」
馬。おまえもそんな顔でコッチミンナ。
「大体、女王の話をしてるのに何でオレとコンロの話になるんだよ」
「ごめん。その話はもういいわ。コンロの話はあとでね」
コンロの話はまたこんろってか
「街が無事なら教主様に会いに行く?」
「それだと意味がないの」
何か決断したときの顔だ。
「このまま旅を続けるわ。まず、あの牧場まで戻りましょう」
馬の両目が見開かれた
「シアンさんに考えがあるんだろう、此処はオレが口を出すべきじゃないな」
「タケシのおかげで解ったことも有るわ」
「じゃ、出発しようか」
馬。早すぎるよ、馬車が壊れるよ。
花畑まで戻ってきた。来たときとは全然スピードが違うじゃないか
「ここで野営しましょう。人が住んでたところだから、きっと水場も有るわ」
シアンさんが馬具を外してやると、馬とヒーラーは勝手に林の中に入っていった。
馬車から荷物をおろし、木桶を下げて、馬の跡を追うように林に入っていく。
馬は草を食っていた。いや、食っているって言うより食い散らかしてる。
おい、荒れてるなぁ、何か有ったのか?
宥めたほうが良いかと近づくと、馬が草を食いちぎった下に石組みが見える
「オレのために草を刈ってくれたのか?」
んフ
石組みの水路にきれいな水が流れていた。
水路におちた草を馬が角で取り除いてくれる。
角に引っかかった草を取り除いてやり、水を汲む。
馬車に戻り鍋に水を入れる。コンロには触らない。
今日のメニューも「芋団子スープ」緑のペーストは無いが・・
「この花食べられるんだ」
スープに桃色の花が浮かんで居た。
夕食を食べ終えて、テーブルには馬乳酒のコップと一皿の花、
「明日牧場へ行って馬を借りるわ」
何をする気だろう
「手の空いた人もいると助かるわ、タケシじゃちょっとね」
「なんだよ、その言い方は。どうせオレは何も出来ない」
「そうじゃないの、川に橋をかけるわ」
「そんな事出来るの?」
「やってみなければわからないけどね。落ちるかも知れない」
そう言って笑うシアンさんは何か雰囲気が違うような・・
「シアンさん。今日、ちょっと雰囲気が変わったような気がするんですけど」
馬乳酒を飲む所作が美しい。
「何?はっきり言ってよ」
「き、キレイですね」
湯気が出ないね、失敗だ。
「もうちょっと優雅にならないかしら?」
くねくねしてる
「はっきりわからないんだけど、私達が追いつかない様に何かの力が働いてる」
「何かの力って、そんなの解るの?」
「タケシからは神力が感じられないって、ヒーラーが伝えてくれた」
「コンロの話ね」
「そう。原因までは解らないんだけど、ヒーラーが伝えてくる神力のイメージを感じようとずっと集中してたら、私の感情をコントロールするような力が加わってるって解ったの」
「誰が、何のためにそんなことをするんだろうね」
「一定距離に近づこうとすると妨げる、そんなすごい神力があるのは一人だけ」
「女王か、何で女王がオレやシアンさんを遠ざけるんだ」
「チョット待ってて」
シアンさんは馬車に入って幕を閉じる」
「か、かわいいね」
着替えて出てきたシオンさんに思わず声が出た。
「どう?」
「どう?ってこれから寝るだけって服装じゃないな、裕福な町娘かそんな感じ」
「フフフそう見えるなら正解ね」
「私は女王よ」
「え?シアンさんが女王??」
「そう。下手くそな変装をした女王に見えるように変装するの」
シアンさんはスッと背筋を伸ばし、澄ました顔で
「タケシ。肩をもみなさい」
「ハッ女王様」
シアンさんの後ろに回り、肩をモミモミ。
「ヒャン・・ちょ女王様とかヒゥ言っちゃ、イッチャ・・・・ダメ・・」
ヒーラーさん。何かコントロールしていませんよね・・・
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