第16話

「王国では何が有ったんだ?魔物が館を襲ったのは知ってる。だからみんな逃げてるんだろう?」


魔物って聞いてオレは必死で逃げた、堀に飛び込んで

兵士に捕まって・・・アッーー嫌な記憶だ


「教主様は何で逃げなかった?街の商家は?何で残ったんだ。」

いくら結界が有るからって、オレだって出られたんだ。怖くないのか。


「あの魔物は街を襲わない。そうじゃないのか?」


街が襲われるかも知れないのに、こんなに落ち着いて逃げてるのはおかしい。

オレは矢継ぎ早に質問を浴びせる。


「そうよ。魔物が狙っていたのは王の杖、街は襲わない。」

やっぱり知ってたのか。


「あの王杖は謎の杖。出処がわからない、初代の国王は世界樹から授かったと言っていたけど、七創家にしか無いはずの世界樹の枝が突然現れた。」

「偽物?」

「最初は皆、そう疑っていたけど、国王は奇跡を発現させてその神力を知らしめた」


「力は認めるけど、正統性に疑いを持ってる?」

「世界樹の杖を継承するには、その都度世界樹に許しを得なければならない。

 王国では王の親族が何らかの方法で、世界樹に許しを得ず勝手に継承してるんじゃないかって、」

「教主様も王の親族だったね」


「創家では、創家の家人や分家の家長、その下の家持ち達、階級の人たちの中で一番ふさわしいとされるものだけが世界樹に認められる。同じ血から出続けるなんてありえないの」


「王家が優秀な人間を自分の血族だって偽ってる可能性はある?」

「それはない。世界樹が認める実績がないと認められないもの、実績がある人なら誰もが顔を知っている。

王の顔なんて、普通の人は誰も見たことないわよ」



「逆に言えば、誰でも王になれる可能性がある杖ってことか?それとも王家の血に秘密が・・」

いや、初代の王はただの研究者だったはず、教主様が何か知っている。




「世界樹がこの世界をつくり、世界樹の意思に従って生きるのがこの世界の定め。

世界樹が認めていないのに、王になれる。そんな杖が有っちゃいけないのよ」


「シアンさんは王杖や王家が無くなればいいと思ってる?」

「教主様は、大事だって・・・でも教主様は王の親族だから!」

「親族だから?本当にそうなのかな?」

「・・・・解らない」


馬はさっきからずーっと、立ち止まったまま、聞き耳を立てている。



「もう一度聞くよ、俺達はなんで逃げている」


「もう一台の馬車・・・」


教主様が寄越した馬車だな、隊と一緒に移動している。オレたちの馬車だ。

追いかけなきゃいけないんじゃないの?


「あの馬車には、女王が乗ってる」



「えええーーーーーー!!!!ジョジョジョジョウォー?」


驚愕の告白に頭が真っ白になる。あの赤いドレスの少女が??

オレを置き去りにしたあの少女が・・・・・



馬も小便漏らしてるぞ

ジョジョジョジョジョオーーーーーーー

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