空想魔術

絶えず咲う向日葵と、

安らかに唄う波打ち際

私と言う名の魂は、

始まりの空に焼き付いて離れない

貴方を想う

貴方を願う


命、溢れた暁は過ぎ去って

舌を抜かれた夜宵が囁いた

「私達はやがて、天国へ逝く」

足跡が一つ、悲しく消える


永遠なんてものに呪われたまま、

彼らは数え切れない螺旋階段を登る

辿り着いた景色は、色彩の欠けた

傷の無い二千三百の檻の中


絶えず咲う向日葵と、

安らかに唄う波打ち際

私と言う名の魂は、

終わりの月に呼吸を奪われた

それでも、手を伸ばすのは

貴方を想う

貴方を願う

貴方へ祈る

貴方へ笑う


やがて天国へと至る。

やがて天国へと至る。

そして全ては成就する。

私達は報われる。

やがて天国へと至る。

決して恐れるものは無い。

私達は満たされる。

私達は泣き、笑う。


絶えず咲う向日葵と、

安らかに唄う波打ち際

私と言う名の魂は、

始まりの空に、終わりの月に、

焼き付いたまま。

呼吸を奪われた。

天国へと至る階梯と、

名もなき墓標がそこにあるのなら。

私と言う名の魂は、

始まりの空に、終わりの月に、

焼き尽くされてしまいたい。

呼吸を枯らしてしまいたい。

そして手を伸ばす。

届くはずのない場所へ。

貴方を想う。

貴方を願う。

貴方へ祈る。

貴方へ笑う。

貴方に捧ぐ。

貴方に贈る。


どうか、貴方の元へ。

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