絶花再臨

魂を喰む狼が、焼け落ちる大地を穿つ

永遠に似た墓標は、黙して幻想を待っている


どうしても、どうしても届かない欠落が

太陽を堕としたのだろう

何度でも、何度でもなぞらえた撃鉄が

潰瘍をのこしたのだろう


全ては滅びゆくのだから

誰しも朽ち逝くのだから

せめて忘れてしまえば良い

そして甦れば良い

生命の狭間で人は、眼を開けたまま夢を見る


足りない物さえ物足りない

悲劇であるほど喜劇になる

覚醒を待つ波際で、即席の罰を求め合う

尾を噛む蛇が見下ろして

あざける声は鐘となる


全ては滅びゆくのだから

誰しも朽ち逝くのだから

せめて昨日を救えば良い

そして目醒めれば良い

生命の狭間で人は、もう一度轍を刻んでゆく


瞳を撫ぜる狼が、しるべ無き大地にける

刹那を歩く墓標は、凛として貴方を愛するだろう。

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