深層解鳴

宮葉

死想跳躍

もしそこが宇宙なら

君はどこまでも飛んでゆくだろう

属すことも根付くことも無いままに

誰も知らない夜空を見に行くだろう

だから気付いたんだ

重力は君の為にある


もしそこが天国なら

君はいつまでも欠伸あくびをするだろう

花を探し蝶を追ってもすぐ飽きて

悪戯好きの幽霊になるだろう

だから気付いたんだ

酸素は君の為にある


君を繋ぐ為

君を紡ぐ為

この星は生まれた

君が笑う為

君が怒る為

この旅は始まった


二千余年の集積は、ようやく花ひらく

四十六億年の悲劇は、ようやく喜劇となる


もし君が一人なら

私は何度でも会いに行くのだろう

目一杯の土産話を抱え込んで

死ぬまで喋り続けてやるんだ

だから気付いたんだ

涙は私の為にある


君を縛る為

君をわかつ為

私は生まれたのかな

君が叫ぶ為

君がかげる為

私は選ばれたのかな


もしそこが何も無い荒野なら

どこまでも飛んでいってほしい

振り返ることも思い出すことも無く

誰も知らない夜空へ辿り着いてほしい

私のいなくなった世界で

私の届かない未来で


でも叶うならもう一度

重力に引かれ、酸素を吸い込んで、

涙を交わしてもう一度逢いたい

だから私は信じている

引力は私達の為にある。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る