胎内心傷
慈しめ、何物も
愛おしくあれ、何者も
目も耳も喉も全て
マスキングテープで奪って
異端は黙して、平坦にようこそ
誰しもが右へ左へ
水面に刺した
避けて貴方とさようなら
傷つきたくないの
死にたくないの
出来るだけ安全でいたいだけ
泣きたくないの
思い出したくないの
でも時には泣きたいの
思い出してしまうの
傷つきたくないの
怖くなってしまうの
だから泣いてしまいたいの
どうして頬は渇いている
色は
誰にも届かない肌
誰にも見せたくない痣
でも大丈夫、独りだから
どうせいずれ捨てる
慈しんだよ、何物も
愛そうとしたよ、何者も
目も耳も喉も覆って臥せって
レッテルで糊付けされたマスキングテープが
私を殺してゆく
異端は黙して、平坦にようこそ
誰しもが右へ左へ
水面に刺した澪標
避けて貴方とさようなら
貴方とさようなら
もう二度と会わずにいたい
もう誰とも会わずにいたい
もう誰もが壊れてしまえ
もう誰もが私になれ
同じ苦しみに染まれ
同じ傷をつけてくれ
渇いた頬を刻ませて
だけど、どうせ敵わない
だから、どうせ満たされない
なのに、今は泣けなくて
見つからないどこかで
呼吸を忘れたの
どうせいずれ捨てる躯
ならば、今すぐ棄てようか
せめて、一握りの勇気さえあれば良いのに
マスキングテープが辛うじて朝日を繋ぐ。
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